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『飛雄を悪く言わないでよ!』



あいつらの言っていることは、分からないわけでもない
僕だって飛雄のことちゃんと分かってるわけじゃない
むしろ、何を考えているか分からない事の方が多い



でも、だからといって物心つく前から一緒に居る幼馴染の悪口を見過ごせるほど大人じゃない




『飛雄はバレーが大好きなだけなんだ!君たちにとってのゲームが飛雄にとってのバレーなんだ!だから、そんな風に・・・言わないで・・ほしい』




人に何かを伝えるのは苦手だ
僕は小心者だから、出来れば敵を作りたくないし誰からも嫌われたくない


言葉を選んで選んで、なるべく不快にさせないように角が立たないようにやってきたつもりだったけど、そう簡単に上手くはいかない


きっとこう考えてしまうのは、自分に自信がなくて優柔不断だから
だから、幼馴染を庇おうとしている今も怖くて最後は声が小さくなってしまう





「はぁ?よく聞こえねーんだけど!」


「あははは!泣き虫チビのうんこ野郎は、影山が居ないと大きな声も出せねーのかよ!」




止まらない涙は冬の寒さをより僕に意識させ、
それに応じて心細く悲しくなっていく




「A!!」




僕の名前を力強く呼ぶ声

それは何度も聞いてきた、
僕にとって兄弟の様な家族の様な存在ともいえる人の声





『・・・飛雄』





鼻水をずびずびと啜りながら声のする方へ顔を向ければ
そこには寒さで顔を赤くした飛雄が僕のもとへ走ってきていた




「来るの遅かったから迎えに来た。一与さんが一緒に試合の録画見ようって」


『・・・・』





涙で顔をぐちゃぐちゃにしている僕なんて気にも留めず
飛雄はウキウキした様子で話しかけてくる


少しは僕の心配をしてよ
何て思うけど、こういう呑気な姿にほんの少しだけ安心感を抱く


あっけに取られた同級生たちは口をぽかんと開けたまま立ち尽くしている





「・・・お前らも一緒に見るか?バレーの試合」




ようやく彼らに気が付いたのか飛雄は、先ほどまで自分の悪口を言っていた同級生たちに声をかける


いや、流石にないだろ
明らかに対立してるだろ


いろいろツッコミ所はあるが、、
あまりにも飛雄が我が道を行っているのを見て先ほどまで感じていた心細さは消えていき
代わりに笑いがこぼれる



『ふふふ。いや、あいつらゲームするんだってさ。僕たちだけで見よう。』


「ん」



僕はいつもの様に飛雄に手を引かれ帰路に就く

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ブタ(プロフ) - 金成さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!イラスト検討してみます! (4月2日 12時) (レス) id: 2e5896a6df (このIDを非表示/違反報告)
金成(プロフ) - コメント失礼します。…全然無理にとは言いませんがよければイラスト見せていただけないでしょうか…。ほんと我儘だとは思うんですけど自分も描いてみたく…検討していただけないでしょうか。作品、すごく面白くていつもにこにこで読んでいます。更新頑張ってください。 (4月2日 0時) (レス) id: 84b21786fe (このIDを非表示/違反報告)
ブタ(プロフ) - 空さん» わぁ!!コメントありがとうございます!頑張ります!! (3月29日 17時) (レス) id: cb9064ad86 (このIDを非表示/違反報告)
- とてもいい作品です!更新がんばってください!応援しています! (3月29日 14時) (レス) @page6 id: 7db07df1a0 (このIDを非表示/違反報告)
ブタ(プロフ) - コメント返し、下手くそですみません(´・ω・`) (3月27日 21時) (レス) id: ab5ddee3e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ブタ | 作成日時:2024年3月22日 23時

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