鎖【月永レオ】【天祥院英智】 (ページ13)

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13. ページ13

「英智さん、そろそろ寝ないと…明日に響きますよ？」

夕食を食べ終え、お風呂に入り…今は、夜の11時。
私は本を読んでいる彼に、そういった。

「……今は何時？」

「11時です。」

「……11時…そうだね、そろそろ寝ようかな。」

彼は本をぱたん、と閉じると、机の上に置いた。

「何の本、ですか？」

「ふぁあ…」と、小さくあくびをした英智さんに、訪ねる。
気になった。…普通の本のサイズよりその本は少し大きかったし、もともと読書が好きってこともあって。

「裸の王様、だよ」

彼はベットに腰掛け、そういった。

「あぁ、あの……小さい頃に、読んだことがあります。絵本で…確か、これは心が綺麗な人にしか見えない服だと勘違いして町に出た、って感じの少しまぬけな王様の話…でしたっけ？」

…小さい頃の私に…母が一度だけ、読んでくれた絵本。
当時の私は、まぬけな王様だなぁ、なんて思いながら…繰り返し、読んでいて。

「……けど、なんでいきなりそれなんですか…？」

英智さんが、絵本を読むなんて珍しいから…
私が、そう聞くと…彼は、笑って、少し楽しそうに、こう言った。

「昔、学院にね。『王さま』と呼ばれた子がいて…その子のことを少し、思い出したくなっただけだよ。」

「『王さま』…ですか。なんか夢ノ咲学院って、そういうあだ名がついている人が多いですね。『帝王』だとか…『魔王』だとか。」

「ふふ、そうだね。………さぁ、もうおしゃべりはここまでにしよう。Aも眠いだろう？」

「…え、あ…は、はい。」

話を遮られた、というか…途中で、誤魔化された気がする。逸らされた？

私はとりあえず、明日も早いので…「おやすみなさい」と言い一礼をしたあとに、部屋のドアをきちんと閉めた。