検索窓
今日:7 hit、昨日:1 hit、合計:18,664 hit

太陽のように ページ10

薬品の匂い、暖かな布の感触Aが意識を覚醒させて一番最初に感じたのはその二つだった。
(布団?もう朝?でもまだ眠い……)
「んっ」
Aは小さく声を漏らし、寝返りを打ちもう一度夢の世界に帰ろうとしていた。
しかし両手を強く握られ動かすことができなかったため、上手く寝返りが打てなかった。
よくわからないが仕方ないと悟り重たい瞼を開けると、目の前にはAを見下ろす谷崎兄妹の姿が有った。
「Aちゃん!!!やっと目を覚ましてくれたんだね!!」
「中々目を覚まして下さらないからナオミとても心配したのですわよ!」
喜んでいるような安堵しているような彼らの表情にAは戸惑いを感じたが、
眠気が覚めていくにつれ、徐々に自分の置かれていた状況を思い出した。
(ポートマフィアに拷問されてそこに谷崎君が助けに来てくれて私気を失ったんだ)
体の痛みが完全に消えていることからAは与謝野晶子の異能力によって治療されたのだろうと推測した。
しかし傷は癒えたものの谷崎兄妹にとても強く握られている両手が少し痛かった。
唯その痛みと二人の手の体温がAが生きていることを実感させてくれていた。
「谷崎君、ナオミちゃん」
「どうしたの?」
「どうされたんですの?」
「二人ともありがとう」
微笑むAを見て谷崎兄妹は表情を曇らせた。
「元をただせば私が敵に捕まってしまった所為であってお礼を言っていただける資格なんて私にはありませんわ……」
「そんなことない!ナオミは悪くないよ。悪いのは全部ボクなんだ。ボクがあの時君を一人にしなければこんなことにはならなかった。
ごめん。謝って済むことじゃないってわかってるけど、ボクは君に罵倒されることはあってもお礼を言われるような人間じゃないよ……」
「二人とも……」
「谷崎君の言う通りナオミちゃんは何も悪くないよあの数の敵で傷を負っていたんだから捕まってしまうのを回避するなんてあの時は無理だったんだよ」
「それに谷崎君も悪い所なんて一つもない」
「でも!」
「あの時はあれが最善の方法だった。あの時はあれが私たちの思考や能力で出来る全てだった。
唯それだけの事だよ」
「……」
「それに結果谷崎君は私のことを助けてくれて、私は今こうして無事に生きてる。その事実だけで良いんじゃないかな?」
「Aちゃん。君は優しすぎるよ……」

※作者からのお知らせ→←救出作戦



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (37 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
26人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

クコ(プロフ) - ルイさん» コメント返信遅くなってしまいすみません。そう言ったことは読者様のご想像にお任せします。 (2018年10月9日 20時) (レス) id: c68ef9c665 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ - 立原さんは死んだんですか? (2018年9月14日 18時) (レス) id: 63736b3e41 (このIDを非表示/違反報告)
クコ(プロフ) - 桜木 茜さん» コメントありがとうございます!!そんな風に言ってくださると物書き冥利に尽きます! (2018年4月20日 3時) (レス) id: c68ef9c665 (このIDを非表示/違反報告)
桜木 茜(プロフ) - 今日最後まで読ませていただきました。涙がドバドバ止まりません、すごく良かったでふ! (2018年4月18日 20時) (レス) id: 276600753d (このIDを非表示/違反報告)
クコ(プロフ) - 雪のさん» 最後まで読んでいただいて、さらにコメントまで下さってありがとうございます!!嬉しい限りです!これからも頑張っていきます! (2018年2月18日 23時) (レス) id: 336d684e71 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:クコ | 作成日時:2018年1月11日 3時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。