流れ始めた水は止まらない ページ14
「……。あのさ、さっきナオミと話してた時に言ってたことって本当？」
「どれの事？」
「ナオミに嫉妬しているって話」
Aは回答に困った。先ほどはナオミに少しでも楽になって欲しくてつい言ってしまったけれど、あの場には勿論谷崎も居て話だって勿論聞いていたのだ。
「……」
「ボクには言えない？」
「そう言わけではなくてね……？」
「もしかして僕君に寂しい思いさせちゃってた？」
「……。うん、ナオミちゃんに嫉妬してたのは本当。でもそれは谷崎君の所為じゃなくて私が、私が弱虫だったから楽しそうにしてる二人の間に入れなかっただけなの！だから谷崎君が気にすることじゃなくて」
「ううん、それは違うよ。これは君が寂しい想いをしていたのに気付くことができなかったボクが悪い」
「そんなことないよ！それに谷崎君とナオミちゃんは兄妹で、仲が良いのは当たり前でそれを見て嫉妬した私が悪いの。こんな重たい女嫌いになった？」
「嫌いになんてなるわけない。ごめんね寂しい想いさせて。ごめんね気付いてあげられなくて」
「谷崎君はこんな性格悪い女嫌じゃないの？」
「Aは性格悪くなんてないよ。それに原因はボクだし。君はいつもわがまま要求も言わないからからこのままでいいんだって思い込んでた。でも違ったんだね。言わなかったんじゃなくて言えなかったんだね。ごめんねいつもナオミばかりで君に構ってあげられなくて」
泣きたくないとそう思っていたのにAの目からは堰を切ったようにぼろぼろと涙が零れ落ちた。
「寂しかった、ずっとずっと寂しかった……」
「うん」
「いつも私と一緒の時でもナオミちゃんの話ばっかりで、私と違う話をしてる時より楽しそうで」
「うん、ごめん」
「いつも谷崎君の隣にはナオミちゃんが居て私はそこに入れなくて……」
谷崎は泣きながら今までの気持ちを吐露するAをきつく抱きしめた
「ナオミちゃんばっかり狡いっていつもそう思ってて……」
「私なんかが彼女でいいのかなとか思ってた谷崎君には私なんかよりナオミちゃんみたいな人の方が似合うのかなって」
(こんなこと言うつもりなかったのに)
一度流れ出してしまった水は留まるところを知らず今まで心に押し留めていた想いは次々と言葉になって外へ放たれた。
そんなAを谷崎は唯々抱きしめ想いを受け止めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 26人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
クコ(プロフ) - ルイさん» コメント返信遅くなってしまいすみません。そう言ったことは読者様のご想像にお任せします。 (2018年10月9日 20時) (
レス) id: c68ef9c665 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ - 立原さんは死んだんですか？ (2018年9月14日 18時) (レス) id: 63736b3e41 (このIDを非表示/違反報告)
クコ(プロフ) - 桜木 茜さん» コメントありがとうございます！！そんな風に言ってくださると物書き冥利に尽きます！ (2018年4月20日 3時) (レス) id: c68ef9c665 (このIDを非表示/違反報告)
桜木 茜(プロフ) - 今日最後まで読ませていただきました。涙がドバドバ止まりません、すごく良かったでふ！ (2018年4月18日 20時) (レス) id: 276600753d (このIDを非表示/違反報告)
クコ(プロフ) - 雪のさん» 最後まで読んでいただいて、さらにコメントまで下さってありがとうございます！！嬉しい限りです！これからも頑張っていきます！ (2018年2月18日 23時) (レス) id: 336d684e71 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：クコ | 作成日時：2018年1月11日 3時
