星月夜 3

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次のコンサートが始まる頃、俺はまた玉森の家で世話になっていた。



あの日、目が覚めたら藤ヶ谷がすぐそこにいて抱き締められていた。

思わず出そうになった声に慌てて口を塞ぎ、その寝顔をまじまじと見つめる。


美しい目元に高い鼻、厚い唇。露になった額に、セットしてない髪の毛がかかっている。



この前ベッドで一緒に寝た時も、起きたら同じ状態だった。

あの時はあまりに驚いて大きな声を出してしまい、藤ヶ谷が目を覚ました。
「体調は？」と聞かれ「大丈夫」と答えるとそう、と何事もなく腕を解きベッドから降りていった。


なんで抱きしめてたのかなんて聞くことも出来ず、早々に帰った藤ヶ谷を見送った。



状況が状況なだけに心臓はバクバクしているが、寝ている姿は幼くて可愛いと思う。

藤ヶ谷は眠りが浅く、よく目の下に隈を作っているから、寝ている顔を見るだけで安心する。


そういえば今日は仕事の予定どうなってんだろうと時間が気になり、携帯はと頭を動かすと俺を抱き締めていた腕が動いた。


「……ん」


色気のある声が聞こえたと思ったら、ゆっくりと瞼が上がっていく。


「…………体調は？」
「大丈夫」


目が合うとぼんやりした声でこの前と同じ質問をされ、同じ答えを返す。

そ、と言われるまでは同じだったが、そのまま顔が近づいてきたと思ったら唇が重なっていた。


「ん、」


突然のことに目をぎゅっと閉じると、藤ヶ谷は何度も唇を押し当てて小さく吸い付てくる。
昨晩のように舌を差し込んでくるようなことはなくて、でも徐々に上がっていく熱にどうしようと体を固まらせた。


しばらくすると離れる気配がし、止めていた息を吐きだしながら目を開けると藤ヶ谷がじっとこちらを見ていた。

気まずさに視線を逸らすとまた顔に手を添え強引に正面を向けさせられ、声を上げる間もなく強く唇に噛みつかれる。


「……ン、ん……」


入ってきた舌に翻弄され声が漏れてしまい、恥ずかしさに肩を押し返すと強く抱き込まれる。

熱を持ち始めた下半身を引こうとすると、腰を抑えられ藤ヶ谷の熱をグッと押し付けられた。


「ぁ……ッ」


その熱さに腰が震え、口内でくぐもった声が漏れた。

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