星月夜 3

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「……何してんだよ」


そんな北山に無理やりキスをしてしまった罪悪感が募り、重い息を吐き出す。

そもそも俺が来なかったら北山だって静かに寝られていたかもしれないのに、余計な心配をしたせいでこんな夜中に叩き起こしてしまった。


俺の存在が北山の役に立っているかと聞かれたら、おそらく立っていないだろう。

匂いを嗅ぐ必要だって本当はなくて、北山にも嗅がなくていいと言われた。

事情を知っている玉森の方が対処出来ることも多いだろうし、すべて任せればいいのかもしれない。


だけど、どうしても玉森にすべてを任せるのは嫌だった。



寝る寸前に俺の名前を呼んだ北山。

そこに何の意味があるのかは分からない。


だが、北山を守りたいと思った。


こんなに痩せた体で、それでも必死に自分の夢を、グループを守ろうとする北山を俺が守ってやりたいと。


なんで一人で頑張ろうとするんだって、俺を頼れよって憤って、でも北山ってこんな奴だったじゃんって今更思う。

大丈夫だって強がって、本当は誰よりも傷つきやすくて臆病。

そんな北山を支えて二人でグループを大きくしていくんだって昔は思っていたはずなのに、なんで忘れていたんだろう。


北山のことを思い出そうとすると、やはりもやもやして頭が痛くなる。

まるで思い出すなって言われているみたいな痛みに、前はすぐに考えるのを放棄していたが今は気になって仕方がなかった。


北山のことを苦手だと思い始めた理由が、どうしても思いだせない。

今まで長年の性格の不一致だと思っていたが、そうだとしても感情の真ん中にぽっかり穴があいたような場所がある。



自分が大切な何かを忘れているような気がして、落ち着かない。


分かっているのは俺はもう北山を、どうでもいいと思えなくなっているということ。


眠っている北山を暖めるように抱きしめると、欲 情を即す甘い匂いが痺れるような心地よさを運んできて、頭の痛みが少し治まった気がした。

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