星月夜 3

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ミツの夢は俺の夢でもあり、ガヤの夢でもある。
だからガヤがミツを助けることだってグループの為で自分の為であるはずなのに、それがなんでこんなに嫌なんだろう。


この感情が何かなんて、さすがに分かっている。

だが嫉妬というこの感情を誰かに対しこんなに強く思ったことがないから、自分の感情なのに上手く飲み込めない。


最初は本当に同情だった。

助けられるのが俺しかいないなら仕方ないって、そこから始まった。

でも普段男らしいミツが弱っている姿に、俺が守ってあげなきゃって使命感を持つようになった。


それが段々と俺だけが守ってあげられる、守ってあげたいに変わっていった。



もしかして、という気持ちはあった。


だが男に、ミツに恋愛感情を抱くなんて考えたこともなかったから、なかなか自分の中に落とし込めなかった。

しかし今、胸の中に渦巻く気持ちをそれ以外の言葉では言い表せない。 



(……俺、ミツのこと好きになっちゃったんだ)  



他の誰にも近づいて欲しくない。俺だけを頼って欲しい。

ずっと傍に付いていられない以上、俺以外の奴の力を借りた方がいいって分かっている。

分かっていても嫌だと思う気持ちは独占欲しかなくて、それが日々俺の心を蝕む。


「ミツ、ここさー」


二階堂がミツに資料を見せながら近づく。今年は二人でコンサートの演出を考えているから、一緒にいることも多い。
二階堂と一緒にいるのも気に食わない。でも、ガヤと一緒にいる時に比べたら大分マシだ。


ミツとガヤは普段全然話さない癖に、いざとなればアイコンタクト一つで分かり合える。

会場を一瞬にして自分たちの色にしてしまうパフォーマンスと熱量。


同じことをしたって、あの二人と同じようには出来ない。


アイドルとしての羨望や嫉妬はずっとある。


でも二人が一緒にいて嫌だなんて感じたことはないし、昔みたいに話せばいいのにって思ってた。


でも今は嫌だ。

どんな意味であろうとミツの特別が他のヤツに向くのも、向けられるのも耐えられない。


自分がこんなに誰かに執着するなんて知らなかった。


「たまー、通し始めるって」
「……ほーい」


宮田の声に適当に返しながら、ゆっくりステージに上がった。

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