第二十五話 ページ27
・
心が震えているのを感じた。
僕の中に存在する「バケモノ」が現れて久しく感じた感情。
怖い…いつからこんなにも臆病者になったのやら…情けないとよく思う。
『…………』
黒く沈んだ青年の瞳、薄い唇は何も言おうとはしない。
ただ、動くものがあるとするのならば…
『……………』
_____爪先まで漆黒に染まった彼の手は微かに震えていた。
*
薄汚れ、血の紅が染み付いた壁に太宰は貼り付けられていた
未だに脱出はしていないらしく、頰には殴られた跡
口の端から血を流している
「………頃合いかな…」
ニタリと口が動いた
手錠を見るその瞳は限りなく悪に近い
ジャラリと金属を擦らせた音がした
「相変わらず悪巧みかァ!?太宰!」
「!_____その声は…!」
「こりゃ最高の眺めだ。百億の名画にも勝るぜ」
そう優越に浸った人物、「最悪、うわ最悪」とまで嫌う人物
_____ポートマフィア幹部中原中也
「いい反応してくれるじゃないか。嬉しくて縊り殺したくなる」
「わぁ黒くてちっちゃい人がなんか喋ってる」
中也が階段を降り切ると思ったより小柄な体型らしく
太宰と比べると身長の差が大きく見えた
「前から思ってたのだけれどその恥ずかしい帽子どこで買うの?」
「言ってろよ
「うん」
「否定する気配くらい見せろよ」
親しげに話す対照的な二人
お互いの悪口は絶えることなく続いていた
「だが今や手前は悲しき虜囚泣けるなァ太宰…………。
否、それを通り越して_____」
話は終わったのか、中也がまた太宰に一歩踏み出す
そして彼の髪を掴んで持ち上げた
「少し怪しいぜ。丁稚の芥川は騙せても俺は騙せねぇ…何しろ俺は手前の
「元相棒」だからな。何をするつもりだ」
「何って…………見たままだよ。捕まって処刑待ち」
飄々とした態度で太宰は手錠を見せた
頑丈そうな手錠はしっかりと壁に張り付いて太宰を離そうとはしない
・
282人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みき - とっても面白いです!更新頑張って下さい! (2019年6月16日 8時) (レス) id: 8d56403f64 (このIDを非表示/違反報告)
☆のん☆(プロフ) - 11話、淳じゃなくて「敦」です。キャラクターについての誤字はもっと気をつけたほうがいいと思います。 (2019年5月21日 15時) (レス) id: b41524b4b3 (このIDを非表示/違反報告)
十夜 - クドい様ですが、敦が淳になってます。 (2019年5月6日 21時) (レス) id: c029fe2fa8 (このIDを非表示/違反報告)
ルーカス - 続きめちゃめちゃ楽しみにしてます! (2019年5月1日 21時) (レス) id: 9beb8a0104 (このIDを非表示/違反報告)
なっつ(プロフ) - 中島敦が中島淳になってますよー!更新応援しています! (2019年4月26日 21時) (レス) id: 956baee6af (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:水餅 | 作成日時:2019年4月20日 12時