第十八話 ページ20
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『敦くん。ここ間違ってるよ』
「え…?あ!ホントだ。ありがとう」
『それが終わったら僕にちょうだい。国木田先輩は他で忙しそうだから』
鈴の素早い手の動きと新人高校生とは思えない的確な指示
そんな彼に敦が驚くのはこれで何回目なのか…
パソコンと向き合って数時間、ひたすらに文字を打ち続けて
あったはずの大量の資料はもう二枚ほどしかない
『…ん?』
「おい、鈴出てくれ」
『わかりました』
電話の鳴る音が聴こえて、他の社員は出られないのか
一人仕事が少ない鈴が受話器をとった
その電話口の向こうから女性らしき声が聞える
[三日月鈴ですね]
『……………』
[三日月鈴。貴方についてはこちらでも詳しく知っています]
『すみません人違いです。切りますね』
[なっ…ちょ…待]
少し荒く受話器を押し付けると
敦くんが少し肩をあげて、こっちを見る
国木田先輩にも聞こえたようだった
「誰からだったのだ」
『間違え電話です。』
「そうか。ではこの資料を頼んでもいいか?」
『はい』
あたかも何も無かったのように仕事を再開し始めた
もうかなりの量をこなしているが鈴の本心はこうだ
『(このままデスクワークの優秀さを知らしめたらこのまま事務員になれる)』
蒼白い光に顔を照らされてまさに企みの顔を浮かべている
そしてその目標はたしかに固まりつつあるが今の電話でやらなければいけないことができた
『(僕の名前を知っているということは僕の生活が危ぶまれるな…記憶を消去しなくては)』
電話口の向こうの女性は明らかに僕を知ってた。
異能特務課ではない。あんな女性の声に覚えはなかったからね
第一、僕に関する記憶はない筈なのだ…ということは僕に何かあると思い探ったということ
『…あの電話を逆探知…すれば』
仕事が終わるまであと1時間ほど…
パパッと終わらせてしまおう
*
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みき - とっても面白いです!更新頑張って下さい! (2019年6月16日 8時) (レス) id: 8d56403f64 (このIDを非表示/違反報告)
☆のん☆(プロフ) - 11話、淳じゃなくて「敦」です。キャラクターについての誤字はもっと気をつけたほうがいいと思います。 (2019年5月21日 15時) (レス) id: b41524b4b3 (このIDを非表示/違反報告)
十夜 - クドい様ですが、敦が淳になってます。 (2019年5月6日 21時) (レス) id: c029fe2fa8 (このIDを非表示/違反報告)
ルーカス - 続きめちゃめちゃ楽しみにしてます! (2019年5月1日 21時) (レス) id: 9beb8a0104 (このIDを非表示/違反報告)
なっつ(プロフ) - 中島敦が中島淳になってますよー!更新応援しています! (2019年4月26日 21時) (レス) id: 956baee6af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水餅 | 作成日時:2019年4月20日 12時