白い封筒 ページ41
「金田一って、いいやつだよね」
「なんだよ急に」
あれだけ私が面倒なくらいに落ち込んでいればラブレターの正体をさっさと白状してしまいたくもなるはずなのに、彼は国見との約束を優先した。
そして、それでも私を助けてくれた。
「あとあの先輩。あの人が好きなのは及川さんだから、お前が心配することは何一つねえぞ」
私と国見の間に挟まれて、一番窮屈な思いをしていたのは彼なのではないだろうか。
「金田一、ありがとうね」
「ほんとなんだよ。気味悪いぞ」
これから先も、金田一の友達であり続けたいし、金田一にも私の友達でいてほしい。
「でも、及川さんの頭ポンポンの方がキュンときた」
「悪かったな、俺で」
そんな会話が、風に乗って遠くへ消えていく。
＊
誰もいない放課後の教室。
そろそろ雪が降りだしそうな季節だというのに、空は雲一つなく冴え渡っていて、夕日が余計眩しく感じる。
窓側の席に座って、外に視線を投げる。
グラウンドで部活に励む野球部を見て、国見も今頃部活頑張っているかなと考えては頬が火照った。
そのまま顔を伏せて、頬に当てた机がひんやりとして気持ちいい。
頬の熱がだんだんと消えていって、下手したらこのまま寝てしまうのではないかと思うほどの睡魔が襲ってくる。
だんだんと重たくなる瞼を必死に持ち上げる。
眠ってしまいたい、という自分の欲求に負けてしまいそうになるのを必死に堪える。
外に出て冷たい風を浴びれば眠気が飛ぶのだからさっさと帰ろう、そう思って立ち上がろうと顔を上げたとき、静か意に開いたドアによってその行為を阻まれる。
「国見」
そこにいたのは、制服姿の国見だった。
国見は私の姿を認めるなりずかずかと教室に入ってきて、黒板に背を向ける形で私の座る前席の椅子を引いて跨った。
「…部活は？」
「今日は体育館点検日だからミーティングだけ」
「そ、そうなんだ」
私がぎこちなく返事をするのには、理由がある。
今朝金田一と話したあの後、白い封筒をそのまま国見の下駄箱に忍ばせた。
その封筒と私を、国見が結び付けているかはわからないが、どうしても不自然な態度になってしまう。
「お前、何してたの」
「ちょっと、睡魔と闘ってまして」
「今日授業中ずっと寝てたろ」
「毎日寝てる国見に言われたくないよ」
そう言うと同時に視線がばっちりと交わって、慌てて視線を逸らしたのは私の方。
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小鈴(プロフ) - 楓鈴さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて本当に嬉しいです！パスワードはメッセージにてお送りさせていただきますのでご確認ください！ (2022年8月18日 15時) (
レス) id: ae1e2047a9 (このIDを非表示/違反報告)
楓鈴(プロフ) - 小鈴様の作品どれも面白くて一気読みしてしまいました(笑)素敵なお話、ありがとうございます。その…恋愛保護方針論の小説を読みたいです…！パスワードを教えて下さいませんか。コメント失礼しました。 (2022年8月6日 0時) (レス) id: 20d25d3656 (このIDを非表示/違反報告)
小鈴(プロフ) - 夕月さん» コメントありがとうございます！古い作品の中からわざわざ読んでいただき嬉しい限りです！パスワードはメッセージにて送らせていただきます！ (2022年7月23日 0時) (レス) id: ae1e2047a9 (このIDを非表示/違反報告)
夕月(プロフ) - こちらの作品や小鈴様の他の作品を拝見して今更ながらファンになりました。2年以上前の作品にはなりますが、「恋愛保護方針論【HQ】」も拝読したく、パスワードをお教えいただけないでしょうか。このメッセージに気付いてもらえますように。 (2022年7月21日 11時) (レス) id: 2778bc399a (このIDを非表示/違反報告)
小鈴(プロフ) - 月花さん» コメントありがとうございます！お返事遅くなってしまったので、まだ見られているかわかりませんが、パスワードをメッセージで送らせていただきますね！ (2021年11月4日 19時) (レス) id: 3ef1db8aa1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小鈴
| 作成日時：2019年12月3日 22時
