強制連行 ページ5
バレー部が休みの月曜日は、決まって３人で帰路につくのだが、なにやら金田一は用事があるらしく私は国見と二人で帰っていた。
やけに、風が強く感じた。
国見の隣を歩きながら悶々とする私の頭の中は、お昼休みのラブレターのことしかない。
もう返事はしたのか、その相手は誰なのか。そしてそれは私が訊いてもいいものなのか。
会っていないとわかっていても、やはり不安要素は十分にあるわけで。
訊きたいのはやまやまだが、ここで私が訊くのは筋違いなのではないか。
そんな色恋事情を、本人を目の前にしてぶつけようかどうかと、頭をぐるぐると回していた。
「なんで今日そんな黙ってんの」
頭上から降ってきたその言葉にハッとして隣を見れば、国見が目を細めて私を見降ろしていた。
「や、なんでも」
いつもなら気になっていることはズバッと聞いてしまうのだが、それをしないのはつい数時間前に冗談扱いとはいえ、振られたことがネックになっているせい。
もしかすると、聞かないというよりかは、聞けないという表現の方が正しいのかもしれない。
「A、今日なんか面倒くさい」
それはまるで、聞きたいことがあるなら聞けとでも言わんばかりだ。
私が首を突っ込んでもいいことなのだろうか。ただの友達の私が。ついさっき振られたばかりの私が。
私は意外と根に持つタイプらしい。でも振られて傷心しない方がおかしい。
「お前が訊きたいことって、これ？」
国見が徐に鞄から取り出してひらつかせたそれは、間違いなくさっき見たラブレター。
余裕そうな表情の彼に対して、私の顔は強張るばかり。
「見ないの？」
私の好奇を後押しするような国見に、恐る恐る差し出された封筒を手に取ると、風に乗って香水の匂いが鼻を掠めた。
国見の匂いとは違う、封筒に染み付いた濃すぎる香水の匂いだ。
封筒を裏、表と反してみるけどやっぱり差出人の名前はない。
指を滑らせると、封は切られていて、余計に好奇をくすぐる。
なんの躊躇もなく封筒の中に指を差し込んで、ふと私はその動作を止める。
「国見、返事したの…？」
私の問いに首を振る国見に追い打ちをかけるように問うと「Aが言ったんじゃん、だめって」という不確定要素を含む返事が返ってくる。
いや言ったけど。言ったけども。そういう意味じゃないじゃん。
つまり、国見はこのラブレターの相手に会っていなければ返事もしていないと。予想の範囲内の展開だった。
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小鈴(プロフ) - 楓鈴さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて本当に嬉しいです！パスワードはメッセージにてお送りさせていただきますのでご確認ください！ (2022年8月18日 15時) (
レス) id: ae1e2047a9 (このIDを非表示/違反報告)
楓鈴(プロフ) - 小鈴様の作品どれも面白くて一気読みしてしまいました(笑)素敵なお話、ありがとうございます。その…恋愛保護方針論の小説を読みたいです…！パスワードを教えて下さいませんか。コメント失礼しました。 (2022年8月6日 0時) (レス) id: 20d25d3656 (このIDを非表示/違反報告)
小鈴(プロフ) - 夕月さん» コメントありがとうございます！古い作品の中からわざわざ読んでいただき嬉しい限りです！パスワードはメッセージにて送らせていただきます！ (2022年7月23日 0時) (レス) id: ae1e2047a9 (このIDを非表示/違反報告)
夕月(プロフ) - こちらの作品や小鈴様の他の作品を拝見して今更ながらファンになりました。2年以上前の作品にはなりますが、「恋愛保護方針論【HQ】」も拝読したく、パスワードをお教えいただけないでしょうか。このメッセージに気付いてもらえますように。 (2022年7月21日 11時) (レス) id: 2778bc399a (このIDを非表示/違反報告)
小鈴(プロフ) - 月花さん» コメントありがとうございます！お返事遅くなってしまったので、まだ見られているかわかりませんが、パスワードをメッセージで送らせていただきますね！ (2021年11月4日 19時) (レス) id: 3ef1db8aa1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小鈴
| 作成日時：2019年12月3日 22時
