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必死な弁明 ページ22

「お前、馬鹿」
「馬鹿で結構です」
「及川のこと好きって、かなり馬鹿」




ここで及川の名前を出す岩泉に、私は目を丸くして、更に不自然さを感じた。





「岩泉って、不器用…?」





今までの言動を振り返ってもそうとしか思えない。それでも、わからないことの方が多くて。





「まぁ器用じゃねえな。裁縫の針に糸通すのとかクソイライラするし」





的を射ていない回答に、思わず笑ってしまう。


さっきまでの放心していた心が、だんだん楽になって軽くなっていく気がする。






「ほら、早く行って来い。アイツがお前のこと探し始めたらすれ違いになるだろうが」






岩泉が私の腕を上に引き上げて無理矢理立たせる。ちょっと、痛い。


こういうところに、やっぱり彼の不器用な優しさを感じる。





「岩泉、ありがとう」

「おー」





岩泉は、私と目を合わせようとはしなかったけど。それでも、ほのかな温かみを感じた。


岩泉相手じゃ、私は一生かかっても及川の一番にはなれない。


それでもいいとさえ、思えた。


そして今、悔しさよりもなんとなく満足感が生まれたのは、気のせいじゃないと思う。


そのまま岩泉に背を向け、及川のもとへと走りだしたころには、さっきの女子のことなんてどうでもよくなっていた。















いつも及川とお弁当を食べている外のベンチへと走った。


日陰に設置された木製のベンチに座っている及川が、膝に肘を乗せて頬杖をついていた。


ほんと、絵になる。


その周りには、珍しく彼のファンらしき女子たちの姿は一切なかった。


すると及川は私を見つけるなり、ぱぁっと笑顔になり手を振った。






「Aおっそーい。及川さんずっと待ってた」





そう言っては及川がベンチに私の座るスペースを空けて、隣をポンポンと手で叩いた。


私は及川にバレないように深呼吸をした。無理に作らなくても自然と笑顔になれるのは、及川の存在が主。





「ごめん、今日及川の分作ってなくて」




私は及川の隣に腰掛けて即座に謝り、ここに来る前に寄った購買で運良く残っていた最後の一個だったサンドウィッチを差し出して、もう一回謝った。






「それは?」




及川が私の持っていたランチバックの中に指を差し込み覗いた。持ってくるべきではなかったのかもしれない。

確信犯は見透かして→←痛感と和解



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設定タグ:ハイキュー , 青葉城西 , 及川徹   
作品ジャンル:恋愛
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いおり - 道徳の教科書に載ればいいのにぃ!!泣くことしか出来ませんが…凄く素敵な作品で本当に号泣しました!!1日で全部読ませて頂きましたがここまで素晴らしい小説は今までで一番だと思います!! (2020年12月9日 15時) (レス) id: 5e524467c0 (このIDを非表示/違反報告)
- 本編は全て夢主目線なのに他の登場人物の感情も伝わってきて、切なくなりました。作者様の描写が繊細だからこそ、読み手にしっかり伝わるのだと思います。番外編でまた深く心情が知れて切なくなりました。特にマッキーがかなりグッときました。すごく素敵な作品でした! (2020年6月22日 9時) (レス) id: 2f4dc25fc0 (このIDを非表示/違反報告)
おかか - めっちゃ面白かったです!一人一人の言動の真意とかしっかり話が作られていて、リアルで凄いです! (2020年6月21日 9時) (レス) id: 0ecde9d0b0 (このIDを非表示/違反報告)
ルーテル(プロフ) - 今まで読んだ占ツク作品で1番好きかもしれません…1人1人の心情がリアルでぐちゃぐちゃなのに真っ直ぐな恋心がとても心地いい作品でした!マッキーの切なさが一番心に来ました…いい作品をありがとうございました! (2020年5月31日 22時) (レス) id: 98b39f25a9 (このIDを非表示/違反報告)
モンブラン♪@アップルパイも捨てがたい(プロフ) - 泣いた...岩泉夢主さん好きなのかなぁ?は勘違いか...もうカッコよすぎ...ごちそうさまですっ (2020年1月13日 12時) (レス) id: 538cc2e76e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:小鈴 | 作成日時:2019年10月17日 21時

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