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人は其れを地獄と云う ページ6

念のため、懐に手を突っ込んだ。

そこには、一振りの短刀が入っていた。

ああ、私、刀剣女士なっちゃったんだ!

そう確信した。

『蝮』というのも、私の名前なんだろう。

だとしたら、私は刀として生きていかないといけない。

少なくとも、私がこの本丸に来たのは、何かしら意味があるはず。

それを遂行するまでは、人間だとバレるのは危険だろう。

それに、薄々勘づいているが、この本丸は異常だ。

恐らく、ブラック本丸。

出会った瞬間殺しに来た薬研もそうだけど、さっきの不動の発言も気になる。

不動は見る限り、甘酒を持っていない。つまり、極だ。

なのに、さっきの会話の内容だと、まるで長谷部より機動が遅いみたいだ。


「大分、意識がはっきりしてきたようですね」

宗三が言った。

「さて、貴方には、この本丸について話しておかねばなりません」

そう言うと宗三は、この本丸がブラックであることを告げた。

やっぱりそうか。

短刀・脇差には暴力、太刀などには夜伽。

典型的なそれだった。

違う点を挙げるならば、月に一度、政府の調査があるため、短刀でも折られることはないそうだ。

そこだけは、ナイス政府。

まあ、ならさっさとブラックなのに気づけよ、とは思うけど。

なんてことを考えていると、難しい顔をしてしまっていたのだろう。

「大丈夫。お前は俺たちで全力で守るさ」

と、長谷部に言われた。

「お前は本能寺で焼失している。記憶も薄いはずだ。

不安に思うこともあるだろうが、うちの審神者にバレないようにすれば大丈夫だろう」

「そんなこと出来るの?」

「まあ、なんとかなる」

神妙な顔で長谷部が言うと、「そこは、なんとかする、だろ」と、不動が笑って言った。

「まあ、あいつは自分の好きな刀以外、まるで眼中にないからな」

典型的なブラック審神者か。

ってか、蝮、本能寺で焼けてたんだ。

ある意味幸運かもしれない。

記憶がない刀に転生したなら、性格や記憶に齟齬があっても多少は許容されるはず。

「何か訊きたいことがあったら、何でも言ってくださいね」

優しく宗三が言ってくれた。

「じゃあ、ふたつ、訊いてもいいかな?」

「みっつでもよっつでも構いませんよ」

かつての幸せに想いを馳せて→←水面に映ったのは



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ツキアカリ - キリンの妖精、キリンロングさん» ありがとうございますm(_ _)m語彙力おばあちゃんにならないように頑張ります(?) (2019年5月18日 23時) (レス) id: 5a16b46531 (このIDを非表示/違反報告)
キリンの妖精、キリンロング - 世代交代(?)頑張って下さい←語彙力の枯渇 (2019年5月18日 22時) (レス) id: 390c1ef0c5 (このIDを非表示/違反報告)
ツキアカリ - ふはいねこさん» 応援ありがとうございます!期待に添えられるように頑張りますね(。・ω・。)ゞ (2019年5月17日 23時) (レス) id: 5a16b46531 (このIDを非表示/違反報告)
ツキアカリ - 前作者さん» 読みました、自分の文章力でどこまでできるか分かりませんが、この作品をもっとよく出来るように頑張ります! (2019年5月17日 22時) (レス) id: 5a16b46531 (このIDを非表示/違反報告)
ふはいねこ - ツキアカリさん» はじめまして。作者交代お疲れ様です(?) 二代目になっても応援してますね。頑張ってください。 (2019年5月17日 22時) (レス) id: 5701e6bc20 (このIDを非表示/違反報告)

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作成日時:2018年12月25日 22時

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