malus＿1 (ページ26)

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ふふっと笑うと、坂田くんは慌てたように足を速めてこちらへ来た。

「なんで知ってるん？まさか、噂になっていたりとかしてないよな！？」

「してないしてない。遥にもバレてないよー？」

「……じゃあ、なんで？」

「企業秘密！いーじゃん、遥にバレてないんだし」

実をいうと、坂田くんとほかの男の子たちの会話を盗み聞きしてしまっただけなのだが、わざわざいう必要もないので黙っておく。

私は手近にあった椅子に座り込んだ。

「で、好きな子が遥だってバレちゃったわけだけど、どーする？遥の親友である私の意見、聞いちゃいますか？これでも遥に関しては人一倍知ってる自信はあるよ？」

私が発した草薙遥という言葉に反応し、私が遥が好きなこと言う前提で話を進めていることを否定しない時点で遥が好きなのは確定している。

完全にバレたことをしって観念したのか、坂田くんも近くの椅子に座り込んだ。

「そ。俺の好きな子は遥。そして、全然こくる勇気がなくて、遥との関係が停滞状況にあって困っていたのも確か。恋愛相談……できるなら、したい」

「よしきた！ちなみにお代金はー……さっきの写真ね」

ついさっきシャッターを切ったカメラを手に取る。アルバムを開いてボタンを押すと、坂田くんの後姿の写真が印刷された。

「わ、なにそれ」

「すぐに印刷できるカメラ。性能よくない？」

「でもそれ、校則違反なんとちゃう？」

「いーのいーの。写真部の備品ってことにしとけばバレないでしょ」

一応写真部の部長をしているため、そこらへんには融通が利く。
まあ、校則違反には変わりないんだけど。

印刷された坂田くんの写真をセーラー服のポケットに入れた。

「なんか自分の写真が印刷されるって恥ずかしいな」

「後姿なんだから大丈夫だって。いやー、写真写りいいねー。……よしっ」

さて。恋愛相談を始めようじゃないか。

そう切り出して椅子を坂田くんのほうに寄せた。