malus＿1 (ページ17)

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A サイド

う「ここの公園、壊されるんだ。

家が立つんだって。

だから、俺の死体が見つかるのは時間の問題だったし、Aといれる時間ももう少なかった。

だからっ、だから突き放したのに。

なんで来たの？」

うらたさんは笑っていた。

涙を流しながら笑っていた。

夕日がうらたさんの体を透けて私の目に差し込まれる。

この場面に合わない言葉が脳に流れる。

きれいだ、なんて。

『、、、好きだからです。』

ポロッと溢れた言葉はあのときのように溢れ出る。

でも、今度はナイフじゃない。

『うらたさんが好きだからです。

話を聞いてくれたからとか、そんな安っぽい理由じゃなくて、

優しくて、真っすぐでどんな誰よりも輝いているうらたさんが好きだから。

だから私はここに来ました。』

そう言うと彼は拳をギュッと力強く握った。

う「俺のこと、大っ嫌いなんじゃなかったの？」

あんなのウソだ。

ムキになった私の子供だましだった。

でもそんなこと、彼はきっとわかっている。

わかった上で私に言わせようとしている。

彼は優しい。

でも、時々厳しい。

その厳しさはいつだって私を正しい方向に導いてくれる。

この厳しさもきっと正しい道に行くための光だ。

だから私は答える。

『あんなの嘘です。

信じたくなかったんです。

大好きなうらたさんに突き放されるなんて。

そんなこと。』

そう言うと彼は笑った。

そして私に近づいてきて目の前でピタッと止まる。

その行動が今日でお別れだ、と告げているような、

そんな気がした。