だから僕は、キスをする。__mfmf ページ1
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───初めてのキス
即ち
“ファーストキス”
人生に1度しか体験のできないそれは、自助努力では成せないものである。
優しくて、柔らかくて、魅惑的なソレは洗礼された料理人が作るどの料理よりも甘美だ。
私はそれを知っている＿＿＿＿＿。
────
──
─
《ごめんなさい》
《悪いと思っている》
そんな言葉で溢れかえっていた
正直言うと鬱陶しい。
日本人の悪い癖だ
そうやって自分の腹の中を隠して自分の立場を固守するための言葉を吐く
どうせ私じゃ…自分じゃなくて良かった。と思っているのだ
真っ暗な道は綺麗な石畳
ゆらゆらと揺れる
｢A、こちらへ｣
ピタリと息を合わせたように止んだ足音
静寂が訪れて、夜の風が少し怖く感じた
私が1歩踏み出すとジャリっという耳心地の良い石の擦れる音
1歩……また1歩……
木でできた階段をあがり、普段開かれることは決してない扉の中へと1人で入った
私の手には明かりはない。
中は真っ暗でなんにも見えなくて、そこに何があるのか
はたまた何も無く、虚無が広がっているのか
光射す方へ振り返るとなんの感情も映していない村人と目が合った
すぐにそらされてしまうそれらに、小さく息を吐き捨てる
この扉が閉まってしまえば、頼りない月明かりも途絶えてしまう
この暗闇の中私一人だ
｢お勤めを達するように｣
ギィーっとやけに立て付けのいい扉が目の前で閉められていく
あんなに沢山いた村人も
偉そうに話すこの老爺も
真ん丸に見えるあの月も
全て…全て私の視界から消えていく
助けの声を…乞いの声を、私は発する暇もなくﾊﾞﾀﾘと冷たい音が暗闇の中にこだました
さっきまで聞こえてた風の音も、虫の鳴き声も示し合わせたように聞こえなくなる
───まさしく、これが独り。
それが第1の感想だ
『どうせなら……』
……死者と化してからここに置いてくれればよかったのに。
自分が目を開けているか閉じていかも分からなくなる暗闇
私はそっと体を横にした
寝てしまおうか
明日起きたら何か変わるだろうか
でも私はちゃんと分かっている。
そんな都合のいいことは起こらない。
って
だって私は───
.
───
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