51 渚side ページ11
「名前…ですか。
名乗るような名前はありませんねぇ。
なんなら皆さんでつけて下さい。
今は課題に集中ですよ」
「はーい」
先生の名前について茅野達と先生が話している間、僕は課題をするふりをしながらこっそり先生の顔色を観察していた。
「では、先生はその間ひと休みを」
茅野が返事をして会話が終わり、椅子にゆったりと座っている先生の顔色が、薄いピンクに変わる。
僕がずっと狙っていた
仕掛けるなら今だと立ち上がりかけた時。
後ろの方から、ガタッと椅子を引く音がした。
「お、もうできましたか成瀬さん」
振り返れば成瀬さんが色紙を持って教壇へ向かっている最中で。
彼女を見つめていると目が合った。
見すぎたかな。
「どうしたの？渚君」
「えっ、う、ううん！
なんでもない」
そ？なんて言いながら先生の前まで進んだ成瀬さんは、「お願いします」と軽く頭を下げながら色紙を先生に渡した。
ピンク色から黄色に戻った先生が色紙に目を通していく。
「季語も入っていますし、触手を美しく表現出来ていますねぇ。
文法も少し修正すれば問題ないでしょう。
82点！」
『え、点数出るんですか』
「勿論です」
えぇー、とぼやく成瀬さん。
彼女がどんな歌を詠んだのか少し気になったけど、それは皆同じみたいで。
倉橋さんが成瀬さんに訊ねていた。
「Aちゃーん、なんて書いたの？」
『ん？パクんないでね？』
「う、参考までに！」
『あはは、じょーだん。
陽菜乃ちゃんがそーゆーことしないの知ってるから。
あ、岡島はわかんないけど』
「はぁ!?」
ちょっと待て成瀬と騒いでいる岡島君をスルーして詠みあげた成瀬さんの歌はこんな歌だった。
夏の庭
君の眼を欲り
名を呼びき
我が背押ししは
触手なりけり
* * *
「どういう意味？それ」
わかりそうでわかんない、と首を傾げた倉橋さん。
僕もなんとなくしか分からないから正解が気になる。
成瀬さんはゆるく笑いながらこう続けた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「欲り」は『ほり』と読みます。
文法が合っているかはわかりません。
(というか絶対おかしい)
やさしい目で見てください…。
すみません
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紅奈虹夢＠虹茶(プロフ) - とっても面白いです！ (12月26日 11時) (
レス) id: 763d4d21f9 (このIDを非表示/違反報告)
甘茶(プロフ) - みの字さん» 返信が遅くなってしまい、申し訳ありません💦そう言っていただけて嬉しいです。ありがとうございます！ (2022年11月29日 14時) (レス) id: 720e88b2d3 (このIDを非表示/違反報告)
みの字(プロフ) - とても読み応えがあってすごく面白いです！！BIGLOVE... (2022年9月3日 15時) (レス) id: e0f77146da (このIDを非表示/違反報告)
リース(プロフ) - そうなんですね！楽しみに待ってます！ (2021年4月28日 19時) (レス) id: 6559b789f7 (このIDを非表示/違反報告)
甘茶(プロフ) - リースさん» そう言って頂けて嬉しいです！大変申し訳ありません、続編は修正が完了していない為パスワードを掛けさせて頂いております。修正が完了次第公開しますので、今しばらくお待ちください。 (2021年4月27日 19時) (レス) id: f9e6e07d35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：甘茶 | 作成日時：2018年7月6日 15時
