【2 後編】はじまりのスプラウト ページ5
次いで耳にしたのは、轟音でした。
天地を裂くのではないかと疑うほどの激しい爆発音が、諦観に瞑目していたわたしの真上で、花火のように炸裂したのです。
慌てて開いた瞳に映ったのは、粉微塵に吹き飛んで辺りに撒き散らされる、魔物さんの触手だったであろうもの。
猛然と舞う土煙を抜けて現れた、愛すべきわたしの半身・サクラさんと、白蛇を従える知らない誰か、装備からするに冒険者さんとその使い魔さんでしょうか、のお姿も。
幸い、聴力をなくしたのはほんの一瞬のことでした。おもむろに差し出された手を取り、よろめきながら立ち上がると、未だ起きたことへの理解が得られないわたしに、冒険者さんが苦笑がちに声を掛けます。
「生きちょるな、重畳重畳。乱暴な方法ですまんのお」
「い、いえ……ありがとうございます。助かりました」
「感謝するんじゃったら、あんたのお友達に言いんさい。それに」
一旦言葉を切った冒険者さんは、慣れた様子で着物の袂へ手を差し入れます。つい先頃までの気さくな雰囲気とは一転した物々しい顔付きを向ける先は、尚も晴れない砂塵の向こう、怒りと怨嗟の入り交じる不気味な声のするほうでした。
「話をするにゃあ、ちィと早い」
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作者名:小春 | 作成日時:2022年7月20日 16時