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前日。









「Aちゃん、私は何をすればいいかしら?」









下拵えをする為にしのぶさんと蜜璃ちゃんが私の屋敷へ来ていた。









「そうだね、八人分ともなると量が必要だからある程度の量は今日作っておきたいんだ。



作るものが 鮭大根、生姜の佃煮、おはぎ、炊き込みご飯、ふろふき大根、桜餅だね。」









「あら、それだけですか?


六人分の好物しか聴けていないのですか?」









しのぶさんがあげた料理名の数と人数が合わない事に疑問を抱いてそう仰った。









「そんなところ…ですかね。

伊黒さんは買い出しや調理は協力するけれど、食べはしないと仰っていたので。

私の好物は人の作ったものですので六品とさせていただいております。」









「そう…残念だわ、みんなで作ったものを食べて貰いたかったのだけれど……


仕方ないわね!その分伊黒さんには楽しく作ってもらいましょう!」









蜜璃ちゃんがそういうとあらかじめ用意しておいた調理法を書き記した紙を頼りに作っていく。

皆様の好物が煮物が多くて、今日やってしまわないと完璧なものにはならない。



料理的に当日は炊き込みご飯と桜餅、おはぎをみんなで作るくらいになる。









「Aさんの書いてくださった調理法、丁寧でわかりやすいですね。

ありがたいです。」









「ね!絶対美味しくなるわ!

明日が楽しみねぇ。」









「ありがとうございます。

褒めていただけて嬉しく思います。」









御二人からそんな風に言っていただけるだなんて思ってもいなかったので、顔が綻んだ。



その後もごく普通の女の子がしそうな話をして、なんだか不思議な心地になった。

楽しそうに話す蜜璃ちゃんをしのぶさんと二人で笑顔で見ていると 話を振られた。









「しのぶちゃんとAちゃんは好きな人とかいないの?」









「ふふ、私はいませんよ。」









先にしのぶさんが答えられた。

その後に御二人はこちらを見て、私の答えをまっていらした。









「そうだね…私もいないかな。


今までは事情もあってあまり人と関わらないようにしてきたから。」









「あら、そうなのね。


じゃあこれからできるかもしれないわね!」









蜜璃ちゃんは自分のことかのように嬉しそうに話した。

周りの人を和ませられるのは才能だ。

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作者名:ヒイロ | 作成日時:2020年4月21日 19時

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