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立ち上がって不死川さんの背中をさする。
「すみません…頃合いを考えて発言するべきでした…」
手元からハンカチを出し渡す。
それを噎せながら受け取ってくださった。
「悪ィ、ありがとな。
だが、その話は断る。
藤堂も聞いてんだろォ?」
お館様の姪ということもあって 苛立ってはいらっしゃるが、そこまで強く当たられない。
申し訳ないけれど、今はそれを全力で使わせていただく。
「はい、しのぶさんに聞きました。
前回の失敗を考慮し、今回は皆さんで一緒に鮭大根を作ろうかと思っておりまして。」
「はァ?冨岡と一緒にかァ?
やるわけねェだろ。」
流石に血管を浮き出させて怒っていらっしゃる。
「そんなことを言われてしまうと悲しいですね……
そのついでと言ってはなんですが、皆さんの好物も一緒に作ろうかと思っておりまして……
それでも嫌でしょうか?」
抑えていた雰囲気も声も全て元に戻し、お館様の姪であることをうまく利用する。
しのぶさんも不死川さんにはそれが一番効くと思うと仰っていた。
案の定、言葉を詰まらせた。
「藤堂ォ……わかっててやってんだろォ。
クソが…」
「不死川さん、冨岡さんとは少し距離を取っていただいても構いません。
再び接触禁止にさせるわけにも行きませんし。
ただお館様の指令です。
他の方はきっと受けてくださると思います、不死川さんだけ参加していないとお館様に悲しそうな顔をされてしまいます……」
弱みであろう、というところをこれでもかと攻める。
申し訳なさで心はいっぱいだけど、実際他の人はきっときてくださる。
伊黒さんもしのぶさんの言い方だと 蜜璃ちゃんの参加をちらつかせれば 大丈夫なはず。
蜜璃ちゃんが断ることはきっとない。
無一郎くんは興味はないけど、お館様の命であれば大丈夫。
非鳴嶼さんも同じだ。
問題の冨岡さんも後で直に会いに行ってなんとか呼べれば問題はない。
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作者名:ヒイロ | 作成日時:2020年4月21日 19時