【HQ!!】逢瀬に溺れる

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『実は私、家族と別で暮らしてるんですよ。だから、家事は自分でやってるんです！』



明るい声を出してみた。
不自然だけど、そうするしか私には出来なかった。



武田先生と、かがみ越しに目が一瞬あった。



思わず、そらしてしまう。
黙って俯いて、これから飛んでくる言葉に傷つくだろうと思い、身構える。




「……偉いですね、天夜さんは。本当、強いです」



予想外の言葉に、自然と俯いてしまっていた顔をハッと上げた。
　


「僕も一人暮らし経験者なので、家事の大変さはこの身を持って知っています。それに、家に独りでいる寂しさと心細さも」



武田先生は、子供をなだめるものとはまた違う、同等の相手に対して話すみたいに、言葉を紡ぐ。



「今日は用意されていますが、明日はカレーを作る予定です。天夜さんの腕の見せ所ですね！ 楽しみです！」



そうしめくくり、武田先生はもうそろそろですよ〜とのんびりと私に微笑みかけた。



『そんなこと言われたの、はじめてです。私今日から三日間、頑張ります！！』



気がつくと、胸がホカホカと暖かかくなっていた。



「はい！」



今日から三日間、素敵な日々になりそうな予感がした。



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