３８歩目 ページ38
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早く来すぎた…
数人しかいない教室。
暇だなぁ…寝よ…
机に突っ伏して、目をつむる。
ｺﾂﾝｯ
あれ、頭叩かれた気が…
顔を上げるとクロが。
ク「はよ。…ちょっといいか？」
「あ、おはよ…うん。」
どちらから言うでもなく、教室を出る。
少し歩いて、あまり人目に付かない廊下の隅で止まる。
ク「あの、さ。…」
クロから、昨日みたいな怖さは感じない。
今なら言える。
「あ、えと…ごめんね、昨日は。私、自分がどれだけうるさいのかわかってなくて…いつも通りのテンションでさ、ふざけて謝って…ほんとごめん。これからは、なるべく静かにするから
。」
自分で言ってて、また泣きそうになる。
謝ったはいいけど、昨日ので嫌われていたら、どうしようもない。
クロの言葉を聞くのが怖い…
ク「っ…泣くなよ、」
え…
ぎゅっ、と。
昨日の研磨より、ずっとずっと大きな体に包まれる。
ク「泣くな、…」
そう呟く声はちょっと切なげで。
背中をぽんぽん、優しくたたかれる
ねぇ、クロ。
泣くなって言われたらさ、余計泣きたくなるんだよ…っ、
ク「違うんだ、ごめん。俺が悪かった。お前は悪くないよ、……昨日、ちょっとイライラしてて。その、当たっちまった…ほんとごめんな。」
今度は頭を撫でられる
よかった、嫌われてないみたい。
それがわかれば充分だ
当たったなんて言うけど、私の声がクロをイライラさせたのも本当だと思うから。
やっぱり、気をつけよう。
「クロ。も、大丈夫、」
ク「あとちょっとだけ」
「え、、？」
ク「もう少しだけ、このままでいさせてくんね？」
珍しく子どものように甘えるクロに、ううんとは言えなかった。
「うん」
そういって、あやすようにクロの背中をさする。
あれ、いつの間にか立場逆転してる…。
クロもこのまま、泣いたら…と考えたけど
びっくりだわ、それは。(笑)
離れる頃には、いつも通りの私たちだった
教室に戻ってから。
「あのとき泣いても私が慰めてあげたのに。」ｸｽｸｽ
ク「うっせー。お前なんかピーピー泣いてたくせに」ﾆﾔﾘ
…このトサカめ
……やっぱり許さなきゃよかったかな？
なんて毒づく心とは裏腹に
終始、笑顔だったと思う。
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作者名：ゆう
| 作成日時：2016年1月17日 6時
