▲真実-240-▲ ページ22
黒子の病室から出て、振り返る事なく廊下を早足過ぎ去る。
さっきまではそれほど重いとも感じなかった鞄が、急に重くなったように感じる。
…当然だ。
このノートは、黒子にも降旗にとっては、とても重い、どれほど純度の高い金塊よりも重い。
それほど大事な真実の記されたノートなのだ。
降旗は階段をかけ降りて、ようやく振り向く。
降「なっ………!」
今確かに、黒ずくめの、まるでSPのような服装の男達が廊下を横切った。
まさか、今からあいつらが黒子の病室に…?
降「……どうしよう…。」
「おい、坊主。」
降「――ッ!?」
階段で立ち止まっている所を、黒ずくめ…さっきの男達のうちの一人に、声を掛けられる。
降旗は額を嫌な汗が伝うのをはっきりと感じ、それと同時に自らの命の危機であることも悟る。
逃げなきゃ、守らなきゃ…このノートを。
「おいッ待て!!」
そう決意して、降旗は階段を普段では絶対にしない二段飛ばしでかけ降りる。
焦りすぎて、最後の一段を転けたところで、看護師に冷たい目で見られたが、こちらはそれどころではない。
スイマセン!と謝る間もなく降旗は病院を脱兎の如く走り出た。
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黒子は降旗が立ち去るのを涙でぼやける視界で見届け、深呼吸をし、天井を見上げた。
さぁ、来い、死ぬ覚悟なら出来ている。
天井裏にひっそりと設置されたそれは、等間隔にピッと音を鳴らし、黒子の反逆を敵に伝えていた。
黒子は痩せ細った足で立ち上がり、開けっぱなしの窓枠に腰掛けた。
「おい黒子、これはどういうつもりだ!!」
がらり、と乱暴に病室のドアが開かれ、数人の黒服がどかどかと入ってくる。
医師は入ってこない、おそらく入ってきてはいけない約束でもしたのだろう。
黒「どうも何も、こういう事です。」
「黙れ!!その生意気な口を閉ざさなければ、今すぐに撃つ!
この施設はすでに緋紗絵様の傘下にある。
貴様一人が死んだところで、治療中の事故で片付けられるのだ!」
「今まで情けで生かしてやっていたが…ついに刃向かったな、この死に損ないめ。
さぁそこから一歩も動くな?
今から三、二、一でズドンだ!」
黒服の一人が、黒子に無機質な銃口を向ける。
それを見て、黒子はほくそ笑んだ。
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ファイ - 主人公の死の真相知りたいです。書いて下さるとありがたいです(>_<)いつも応援してますっ!!続編楽しみに待ってます! (2014年4月28日 22時) (レス) id: e6e8d659c5 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ(ayamea)(プロフ) - extraに入らない方が面白かったです。江戸川ちゃんの狂った感じとか、大好きだったのに、残念です。 (2014年4月26日 23時) (レス) id: cea22bda8f (このIDを非表示/違反報告)
ミカゲ(プロフ) - 春休みの宿題がおわんなくて、ずーっとパソコン出来なくて久しぶりにみました(^^ゞ黒子ぉぉぉ!!生きててよかったぁぁぁ(ToT)/~~~ (2014年4月8日 23時) (レス) id: e410611b3b (このIDを非表示/違反報告)
ドア?ちゃんと閉めたよ、心配しないで。 - すぃませぇん〜(ぶりっ子風)緋紗絵さぁ〜ん、ちょっとぉ今日の放課後、体育館裏来てくれなぁ〜い?← (2014年4月8日 13時) (レス) id: 1808592c18 (このIDを非表示/違反報告)
snowまろ♪ - そうなんですか・・・僕もちょうど今日から3年!くうrrrrろこっち!!生きてたんすね?!あと、いきなり言ってすみませんが、心肺停止が心配になってますよ〜。 (2014年4月7日 20時) (レス) id: 722b590d3e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤司うつほ@失踪するかもしれない | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/utsuhobunkacho/
作成日時:2014年1月8日 6時