【名探偵コナン】降谷零に寵愛された理由

不条理〜萩原サイド ページ25

笑顔が一番よく似合うAちゃんは時折眉を下げて哀しい横顔を見せる。




「お嬢様は先日婚約者である男性に一方的な婚約破棄をされました」

「どうして？」

「元婚約者である男には他に好きな方ができたようで…お嬢様がその女性に嫉妬し嫌がらせをしたと言うことが表向き理由です」

表向き理由ってなんだよ！

「罪を着せられたか」

「お察しの通りです、お嬢様はあのクソ女に当初婚約者のいる男子生徒に色目を使うことを注意したのです」

普段から丁寧な口調のフィリーネちゃんの言葉が乱れている！！

「お嬢様は代表生徒であり、規律を乱すことは良くないと…それを婚約者を奪われた逆恨みだと思い込んだ生徒に、お嬢様に泣きついた令嬢。彼女達に嵌められました」

「体よく利用されてAは孤立したってか？」

「はい、敵は身内にもございました。お嬢様が失脚するように仕向けたのが弟君です」

「は？」

弟に裏切られた？

「１０歳の頃から花嫁修業を強要され、自由など無かったお嬢様はあの男の為に無理をなさっていました…ずっと血のにじむような努力をしてきたというのに…他の女に浮気をしてあろうことにも正義感を振りかざしお嬢様を悪者に仕立て上げたのです」

「最悪だな」

「酷すぎる…」

俺の中で女の子は大事にするものだ。
どんな理由があってもそんな非道なことはしない。


「裏切って置いてなんだよそれ…」

「男とくれば誰彼構わず愛想を振りまく阿婆擦れ女の言葉を真に受けたのでしょう？」

フィリーネちゃんの目が怖い。

「待てよ、あの日Aちゃんが怪我をしていたのって」

「お嬢様は床に頭を叩きつけられた、暴行を受けたと聞きます」

マンションの爆破前から怪我をしていたと聞いているけど、そんなひどいことをされていたのか！


「すると何か？その最低男はAが邪魔で命を狙っていると？」

「正確にはその取り巻きです。あの男にそんな甲斐性も度胸もありませんわ」

さらりとものすごいことを言ったよね？

「匿名希望で棘が抜かれていない薔薇が届きました。お嬢様当てに…毒が塗られていましたわ」

「毒って…」

何でここまで恨むんだ。
裏切ったのは男でAちゃんは何一つ悪い事なんてしていないのに、どうして？


「親父の権力でどうにかできるだろ」

「無理ですわ。お嬢様が拒みました」

「あー…」

松田は呆れながらも納得していた。
なんせAちゃんは人がいい、お人よしすぎるから。

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