1 ページ1
温かな、陽だまりの匂いがするような、そんな彼だった。
*
オフの日。
岩橋は1人で地下鉄に乗っていた。
手には小袋。今日入ったお店で、神宮寺に似合いそうだなと思ったアクセサリーを購入した。
店で話し込んでしまった為遅くなり、地下鉄は人で混みあっている。
露出が増えてから電車に乗る機会はめっきり減った、久しぶりの人混みに苦手だなと思う。
ひと駅止まる事に人の入れ替わりが激しく、感じる息苦しさと動悸。
うまく息が吸えなくなってくる。
目の前がちかちかする、身体がこわばって扉に顔を向け必死に落ち着かせようとするが上手くいかない。
ーーとんとんっ
肩を優しく2回叩かれ、振り返ると自分より少し上の青年が心配そうに眉根を寄せていた。
「大丈夫ですか?」
「っ……」
無理やり頷いて扉に向かおうとした時、扉が開いた。
思わず降りると、数歩歩いてしゃがみ込んだ。
「…失礼します」
「ぇ……」
声に応える前に、肩をだかれ椅子に座らされた。
ふわり、とスイレンの香りが鼻をくすぐって。
「なにかいりますか?駅員さん呼びます?」
これが、彼との出会いだった。
*
69人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きぃぽぽ(プロフ) - 花さん» 花さん*はじめまして、コメントありがとうございます!ほんの少しの文なのに、そうして雑誌まで見返して頂いて!嬉しい限りです。最後まで是非お楽しみください (2020年1月5日 20時) (レス) id: 8ca93dc13a (このIDを非表示/違反報告)
花(プロフ) - 他にない視点のおはなしでいつもどきどきしながら読ませていただいています*^^*覚えある雑誌のシーンに「あ!」と切り抜きあさりました(笑)いつも素敵なお話ありがとうございます*^^*つづきもたのしみにしています♪ (2019年12月29日 8時) (レス) id: 5858306d0d (このIDを非表示/違反報告)
きぃぽぽ(プロフ) - ななみさん» はじめまして、ななみさん*読んで頂き、ありがとうございます。とても嬉しいお言葉です、本当にありがとうございます。これからも楽しんで頂けたら幸いです。 (2019年11月8日 0時) (レス) id: 8ca93dc13a (このIDを非表示/違反報告)
ななみ(プロフ) - はじめまして。読ませていただいて、優しい空気感惹かれました。読んで、映像が(映画みたい)頭に浮かんでくる作品が好きです。きぃぽぽさんの作品をもっと読みたいです。更新楽しみにお待ちしております。 (2019年11月7日 16時) (レス) id: 56b007f690 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:きぃぽぽ | 作成日時:2019年11月3日 22時