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当然 : 銀時 ページ8

外に出れば必ず、
四辻の屋敷の傍を通りがかることが
日課になり始めて、早3ヶ月。
あれから一度だって、彼女の姿は見てねぇし
もちろん、電話も来ねえ。
嫁いだ先が先だから、やること
たくさんあんだろうな。
それにしても、



銀「…不憫な男よ」



自分の憐れさに嘆くと、
俺より堂々と四辻の屋敷の前に立つ
見覚えのある姿が眼に入った。



銀「…おい!」


月「銀時!」


銀「…もしかして、Aちゃんに
逢いに来たのか?」


月「……ああ」



浮かぬ顔でもう一度、屋敷を見上げ
背を向ける月詠は共に来い、とばかりに
俺に話を続けながら足を進める。



銀「あ、おい!逢えたのかよ!?
それなら俺も、」


月「いいから!行くぞ!」


銀「…はぁ?」



何故だか苛立つ月詠の後を追う。
屋敷から少し離れたところで、
月詠はもう一度話を始めた。



月「…逢えておらん」


銀「あ?」


月「はぁ…、今回も逢えんかった」


銀「今回も?」


月「あの夜、身請けされたきり、
一度もAに逢えておらん」


銀「は?」


月「1ヶ月経っても連絡がないから、
こちらから逢いに行ってみたのだ。
その時はいないとだけ伝えられた。
行き先も戻りも教えてもらえんくてな。
新婚旅行にでも行っているのかと思ったが、
翌日、四辻宗介が
車に乗ってるところを見掛けた。
言伝はしたんだが今日まで音沙汰がなかったから
こうしてまた逢いに行ったのだが…」


銀「また居なかったのか?」


月「そう言われた」


銀「…連絡も寄越さねぇのか」


月「あれだけの家柄じゃ。
特別な理由があるのやもしれん。
Aが幸せに過ごせていれば、
何の問題はない」



月詠は俺が眉を顰めたのを見て、
慌てて付け加える。
ああ、そうだなと頷いては見るものの
ふたりの間の空気はどことなく重い。



月「それで、主は何をしておった」


銀「っは!?え、さ、散歩!??」


月「ほう」


銀「…何だよその眼」


月「主がそんなに
諦めが悪い男とは知らんかった」


銀「あ、諦めたとか諦めてねぇとか
そういう話じゃなくてな!??」


月「じゃあ、なんじゃ」


銀「…っぐ、」



月詠はじとっと俺を見続ける。
溜息を吐き、頭を掻きながら
小さく零す。



銀「…友達、だから。
ちょっと、心開いてくれた、
気ぃしてたから、よ…」



月詠はじと眼を丸くし、
そしてふっと笑った。



月「友達を想うのは、当然じゃな」

呪文→←立派な犯罪者 : 山崎



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にじゅまるる(プロフ) - 美雨さん» いえいえ!!こちらこそ修正してくださってありがとうございました!!(°▽°) (2019年5月1日 9時) (レス) id: dfaa12cf19 (このIDを非表示/違反報告)
美雨(プロフ) - にじゅまるるさん» あわわわ…!何故に三番隊!笑 完全に間違えていました!ご指摘、わざわざ、ありがとうございます!!修正させていただきました! (2019年5月1日 0時) (レス) id: c9e3b5a9e5 (このIDを非表示/違反報告)
にじゅまるる(プロフ) - こんにちわ^^!!少し聞きたいことがあるんですが、三番隊隊長は総悟じゃなくて終兄さんじゃないんですか?もし私の間違いであればごめんなさい…けれど気になったので… (2019年4月30日 15時) (レス) id: dfaa12cf19 (このIDを非表示/違反報告)
美雨(プロフ) - 夏終朝凪さん» 嬉しいお言葉ありがとうございますっっ!!これからもう少し銀魂世界寄りになっていく予定なので、引き続き楽しみにしてもらえたらと思います!コメントありがとうございます涙 (2019年4月16日 23時) (レス) id: c9e3b5a9e5 (このIDを非表示/違反報告)
夏終朝凪(プロフ) - 続きが気になります!とても読みやすいですね!更新楽しみにしてます!(*´▽`*) (2019年4月16日 21時) (レス) id: 06ec7af5b3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美雨 | 作成日時:2019年3月29日 0時

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