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なんでだろうな ページ47

銀時さんを見送って、
皆にもう一度挨拶してから
お風呂に入り、
自室の整理をし始めた。


不慣れだからではないけれど、
今夜は眠れないと分かっていた。



でも、それは
不安だからじゃなくて。



まだ少し、渇ききってない
頭にぽんと掌を乗せる。



おかしいな。



たくさんの男の人に触れられて、
たくさんの男の人の体温を感じて来たのに、
頭を撫でられた、あの時が
今までで一番、体温を感じた気がする。
触れられたのは頭だけなのに
一瞬で、わたしの胸は熱を持った。


おかしいな。

安心してるからかな。
男の人にこんなに安心を覚えるなんて、
なんでだろうな。
肌を重ねてないからかしら。
こんなに無防備になってしまって、
おかしい。




「…?」



あれ、と思い
口角に触れる。



「…わたし、
何ひとりで笑ってるの」



銀時さんも言っていた。
歓迎会の時も、わたしはとても
不思議な感覚に落ちていた。
居心地が悪いのに、嫌ではなかった。
初めて、逢った人たちだったのに
わたしを迎え入れてくれてるのが分かった。



「温かくて……不思議な人たち」



真選組も万事屋も。ほんとに。
少しだけ首を傾げながら、
それでも自分がまた
ひとりで微笑んでいることに気づいてる。





片付け、とは称したものの
必要最低限しかない荷物は
まるで、薄っぺらいわたしのようで
温かさを感じた胸は
意図も簡単に冷めて行く。

顔を上げて、広い部屋を見渡す。
ひとつしか灯火をつけていない部屋に
吹き溜まる宵に身が竦む。
夜が暗く、静かなことに
怯える日が来るだなんて。
屈めた身体の下に出る足は、
赤黒い傷を鮮明にその記憶を残す。

四辻さまを恨めたら、楽だったかしら。

仮初にも夫婦であったと言うのに。
何度も触れ合って来たと言うのに。

わたしは彼を救えなかったのだ。

彼が何を抱えて居たかも知らず、
いや、知ろうともせずに
その胸に甘んじて
わたしがもっと彼を理解していたのなら
こんなことにはならなかったのか。
それとも、そんなことも
わたしには烏滸がましかったのか。



なぞる傷はぴりりと痛み、
存在を証明する。
商品であった、自身の身体が
如何に意味をなさない、只の物へと
成り下がったのかを主張するように。



わたしは慌てて足を隠し、
首を振り、纏わり付く宵を払い退ける。
胸に手を置き、じんわりと
感じた温かさの記憶を呼び起こす。
涙が溢れそうなほどに
安堵を与えてくれた彼の
微笑みを想い出しながら。

もしゃもしゃ→←なんでだろうな : 銀時



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にじゅまるる(プロフ) - 美雨さん» いえいえ!!こちらこそ修正してくださってありがとうございました!!(°▽°) (2019年5月1日 9時) (レス) id: dfaa12cf19 (このIDを非表示/違反報告)
美雨(プロフ) - にじゅまるるさん» あわわわ…!何故に三番隊!笑 完全に間違えていました!ご指摘、わざわざ、ありがとうございます!!修正させていただきました! (2019年5月1日 0時) (レス) id: c9e3b5a9e5 (このIDを非表示/違反報告)
にじゅまるる(プロフ) - こんにちわ^^!!少し聞きたいことがあるんですが、三番隊隊長は総悟じゃなくて終兄さんじゃないんですか?もし私の間違いであればごめんなさい…けれど気になったので… (2019年4月30日 15時) (レス) id: dfaa12cf19 (このIDを非表示/違反報告)
美雨(プロフ) - 夏終朝凪さん» 嬉しいお言葉ありがとうございますっっ!!これからもう少し銀魂世界寄りになっていく予定なので、引き続き楽しみにしてもらえたらと思います!コメントありがとうございます涙 (2019年4月16日 23時) (レス) id: c9e3b5a9e5 (このIDを非表示/違反報告)
夏終朝凪(プロフ) - 続きが気になります!とても読みやすいですね!更新楽しみにしてます!(*´▽`*) (2019年4月16日 21時) (レス) id: 06ec7af5b3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美雨 | 作成日時:2019年3月29日 0時

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