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どうして ページ5

平「あれ、Aさん?」


「あ、平太。
これ、どこに片付けたらいいか
分かるかしら?」


平「本ですか?こんなに…
俺、持ちますよ!」


「ありがとう…」



お昼も過ぎた頃、
廊下で立ち竦んでいるわたしに
声を掛けてきたのは平太だった。
新入りのわたしに四辻さまが
配慮してくださったのか、
数人の下人だけがわたしのお世話担当で
構ってくれるのはいつだって彼だ。



平「あれ、これ旦那さまの本?」


「ええ、そうなの。
わたしはずっと吉原にいたから
世間知らずでね…。
外に出て、いろんなことを学びたいのだけど
今はまだ出られないから
これを読んでいなさいって、
貸してくださったの」


平「……そうですか」


「戻そうと思ったのに、わたし
四辻さまの部屋を知らなかったことに気づいてね。
立ち尽くしていたのよ、助かったわ」


平「いえ…。旦那さまの部屋は
下人とて入室を許可されていません。
鍵も掛かっているし…これは俺が運んでおきます」


「そうだったの…、ごめんなさい。
ありがとう。…そっか、
お仕事の大切な資料とかあるのかな」



うんうん、と頷くわたしを
チラリと見た平太は黙ってしまった。



「…平太?どうしたの?」


平「え、いえ?」


「わたし、世間知らずかもしれないけれど
男の人の目の動きだけで
それなりに気持ちを察せるわ。
何かわたしに聞きたいことがあるの?」


平「……あ、いや、その、
Aさんはどうして旦那さまを?」


「え?」



はた、と足を止め
わたしに向き直る、平太。
陽射しが届かない奥の縁側は
昼間でも足先が悴む。



平「どうして、旦那さまと
婚姻しようと思ったのですか?」



わたしは思わず、眼をぱちくりさせる。
どうして。そんなこと、



「そんなこと、決まってるじゃない。
身請けしていただいたか、」


平「でも今は、自分で身請け先を
選べますよね?昔に比べても」


「…!そうね…、確かに」



どうして。

聞かれて初めて考えた。

どうして。

四辻さまを?

身請けされたから。

贔屓にしてくださってたから。

日輪さんや月詠さんを安心させたかったから。

素敵な方で、人気高い人だから。




普通の女として、
友人に逢いに行けるから。




「…っ!」


平「…?Aさん?」


「え!?あ、…そうね。
四辻さまは誰が見ても素敵な方だもの。
身請けを断る方がおかしくない?」


平「…まぁ、そうですけど」


「…何か気になるの?」

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にじゅまるる(プロフ) - 美雨さん» いえいえ!!こちらこそ修正してくださってありがとうございました!!(°▽°) (2019年5月1日 9時) (レス) id: dfaa12cf19 (このIDを非表示/違反報告)
美雨(プロフ) - にじゅまるるさん» あわわわ…!何故に三番隊!笑 完全に間違えていました!ご指摘、わざわざ、ありがとうございます!!修正させていただきました! (2019年5月1日 0時) (レス) id: c9e3b5a9e5 (このIDを非表示/違反報告)
にじゅまるる(プロフ) - こんにちわ^^!!少し聞きたいことがあるんですが、三番隊隊長は総悟じゃなくて終兄さんじゃないんですか?もし私の間違いであればごめんなさい…けれど気になったので… (2019年4月30日 15時) (レス) id: dfaa12cf19 (このIDを非表示/違反報告)
美雨(プロフ) - 夏終朝凪さん» 嬉しいお言葉ありがとうございますっっ!!これからもう少し銀魂世界寄りになっていく予定なので、引き続き楽しみにしてもらえたらと思います!コメントありがとうございます涙 (2019年4月16日 23時) (レス) id: c9e3b5a9e5 (このIDを非表示/違反報告)
夏終朝凪(プロフ) - 続きが気になります!とても読みやすいですね!更新楽しみにしてます!(*´▽`*) (2019年4月16日 21時) (レス) id: 06ec7af5b3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美雨 | 作成日時:2019年3月29日 0時

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