この手を離すな【銀魂】2

月を背に : 土方 ページ29

「んぐっ……！？」



四辻は、俺たちが状況を把握するのと同時に
Aの足から引き抜いたナイフを
掲げ上げたAの首元に押し当てた。



土「四辻ぃっ！！」


四「真選組か…。厄介だな」


沖「獄門引っ提げなくても、
こりゃ現行犯ですねぃ」


四「……獄門。
どっから漏れたか知らないが
証拠があるのか」


土「てめぇとっ捕まえてから
ゆっくり探し出してやりゃあ」



この間にもAの足からは
どくどく、と音がしそうな程に
血が流れ出している。
さっさと済まさねぇと。



土「妻まで、平太と同じように
逃がさねぇ為に切ったのか」


沖「そこまでしねぇと
繋ぎ止めておけねぇなんて、ダセぇ男でさぁ」


四「っふ、どいつこいつもバカだな。
脳まで筋肉で出来ているお前らと違って、
こちらは精神的に籠絡する為の作業に過ぎない」


沖「…籠絡、、気持ちの悪ぃ……」


四「そこの黒髪こそ、気持ちの悪い男だろ。
公私混同して人の女に近付いて」


沖「うわ、やっば、気持ち悪ぃ」


土「お前は黙ってろっっっ！！
公私混同だぁ？
てめぇの気色の悪さと一緒にすんな、ごらぁっ！」


四「おい、一歩でも動いたら
このメスを動脈に差し込むぞ。
お前もAを失うのは嫌だろ？」


土「築いてきた評判は随分と嘘で
塗り固められていたものらしいなぁ！！」


四「っは、そんなものは勝手に
付き纏ってくるものだろう。
チンピラ警察と呼ばれてるお前らと同様にな」



四辻は不敵に笑いながらも
俺たちを煽り、足の痛みに喘ぐAを
引き摺りながら、部屋の隠し扉か？
壁にしか見えなかった扉を開けて縁側に出る。

首元に当てられたナイフからも
力を入れ過ぎたか、血が流れ落ちる。
四辻はAに依存していると思っていたが、
切り棄てられる駒だったのか。
どちらにしても、頭の切れる奴だ。
あの力の入れよう、
こちらにはだいぶ、分が悪い。
4番隊の気配がまだねぇ。
時間を稼ぐしか、



四「…騒がしいな。
当然、お前らだけじゃないか。
A、首を斬り落とされたくなきゃ
立て。行くぞ」


「…んんっ！！？」


土「…っ待て、こら、」





ぶおぉぉんっっっ





足が痛み、立てないAを引き摺りながら
四辻が縁側から庭に降りようとした瞬間、
月を背に、落ちて来た影が風を切った。





土「……っ！？？」


沖「やっとですかい」

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