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お前が悪い ページ27

四「その眼は何だ?」



四辻さまは、
人が変わったように
恐怖に慄くわたしに
激昂しながら、歩み寄って来た。



四「なんでそんな眼で私を見る?
お前のことは愛しているし、
信頼しているのだよ?
だから、全て話しているのに」


「し、信頼…?愛?何を言って、」


四「親を殺したことも、
その全てを奪って焼き尽くしたことも
誰にも話したことはないんだ。
でもAになら話せるよ。
Aは私の傍に居てくれる。
居なきゃいけないのだからね」



がしゃんっ…かしゃっ



歩み寄る彼の言葉が、
恐怖に震える身体が、鎖を揺らす。

わたしの前まで来ると
その身を屈ませ
眼を覗き込めるよう、頬に手を這わせた。



四「……、そうか」


「…え?」


四「こんなに弱々しく、
まるで兎のように震える程
もはや、私が怖いのか」


「…っんな、こ、」



そんなことはない、と
嘘で盾を作りたかったが
唇は震え、渇ききった喉からは
声など出やしなかった。



四「…まあ、いい。
信じているよ、A。
お前は私の傍にいる。永遠にな」



頬を撫でながら、こんな時でさえも
いつものように優しく微笑む。
わたしのように彼も
こうしてこなければ、
やっては来れなかったのだろう。



彼は徐に立ち上がり、ゆらりゆらりと
自身が持って来ていた鞄に近付き
何やら、ごそごそと漁り始める。

安堵も恐怖も増さずに、わたしは
震える身体と鎖の重さに耐えていた。




四辻さまは、はぁ。と短い溜息を吐くと
再度、ゆらりゆらりとわたしに近づいて来た。




その手に、
小さなナイフを持って。




「…っっ!??」


四「ああ、怖がらなくていい。
きちんと縫ってあげるから」


「…っや、いやっ、」


四「平太にもやったばかりだし、
何の心配も要らない。
Aがまた、私に従順になれば
すぐに手術して治してあげるよ」


「おねが、やめっ…!」


四「はい、口にこれ入れて」



四辻さまはわたしの頭を
上から押さえ込み、床に押し付けると
口に無理矢理、タオルを入れ込んだ。



「っ!?んーー!!んー!!!」


四「うんうん、ここは離れだからね。
その声じゃ聴こえないだろうな。
ほら、あまり動くと深くいっちゃうよ?
さすがに全部切ってしまったら私でも治せない。
痛いのは最初だけだから。いいね?」


「んんんっ!!んー!!んー!!」


四「私もAにはしたくなかったよ。
だから、鎖を選んだのに。
あんな眼をしたお前が悪いんだよね?」

呻き : 土方→←落とすように : 土方



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にじゅまるる(プロフ) - 美雨さん» いえいえ!!こちらこそ修正してくださってありがとうございました!!(°▽°) (2019年5月1日 9時) (レス) id: dfaa12cf19 (このIDを非表示/違反報告)
美雨(プロフ) - にじゅまるるさん» あわわわ…!何故に三番隊!笑 完全に間違えていました!ご指摘、わざわざ、ありがとうございます!!修正させていただきました! (2019年5月1日 0時) (レス) id: c9e3b5a9e5 (このIDを非表示/違反報告)
にじゅまるる(プロフ) - こんにちわ^^!!少し聞きたいことがあるんですが、三番隊隊長は総悟じゃなくて終兄さんじゃないんですか?もし私の間違いであればごめんなさい…けれど気になったので… (2019年4月30日 15時) (レス) id: dfaa12cf19 (このIDを非表示/違反報告)
美雨(プロフ) - 夏終朝凪さん» 嬉しいお言葉ありがとうございますっっ!!これからもう少し銀魂世界寄りになっていく予定なので、引き続き楽しみにしてもらえたらと思います!コメントありがとうございます涙 (2019年4月16日 23時) (レス) id: c9e3b5a9e5 (このIDを非表示/違反報告)
夏終朝凪(プロフ) - 続きが気になります!とても読みやすいですね!更新楽しみにしてます!(*´▽`*) (2019年4月16日 21時) (レス) id: 06ec7af5b3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美雨 | 作成日時:2019年3月29日 0時

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