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冷たく重い ページ22

四「笑わせるなよ。
遊女のお前に友人なんか居たのか?
吉原を出たこともなかったお前に?」


「…唯一の、友人です」


四「客の間違いだろ?
あいつが吉原を出入りしてたことも知ってる」


「彼とは何も、」


四「黙れ」


「…っ!」



ぼんやり見えていた眼が
暗闇に慣れ、その顔を鮮明にさせた。
優しい四辻さまの顔、そのままに
わたしを一瞬で黙らせた。




四 「あの真選組がお前と
連絡を取り合っていたことも知ってる」


「……携帯…!」


四「だから、早々に破棄した。
そして、こうしたのだ」




がしゃんっ…




四辻さまはわたしの右足を触った。




「そして、こうした…?」


四「はぁ…。Aは
偽りの愛にしか触れて来なかった。そうだろう?
だから、何も分かっていないんだ。
こうすることで、私の愛が伝わるだろう?」


「……足に、、鎖を付けることで?」


四「ああ」



わたしたちの脱走を聞き付け、
その日の朝に戻って来た四辻さまは
数時間後、わたしの元へ来て
わたしの右足に鎖を付けた。
部屋内は動き回れるようにと
長めの、でも冷たく重い鎖を。



四「Aは、誰にも渡さない」


「…っ、」


四「近づく男は皆、殺してやりたいが
医師を勤める私がそれは出来かねる。
残念なことにね。
だから、こうしてるんだよ。
Aは私の傍に居てくれればいい。
何度も言ってきた筈だろう?」


「…わたしは、決して逃げたりな、」


四「逃げる?そんなことは不可能だし、
そんなことしないとも分かっているよ。
お前は吉原の女。自分の立場は
否が応でも、理解している筈だ。
そんなことはどうでもいい。
私は、Aに近づく者が許せない。
私の信頼を得ている者以外、全て。
…まぁ、それも残念なことに
誰一人いなくなってしまった訳だが」


「…っ!?平太、平太はどうな、」


四「ああ!嫌だね。
Aの口から他の男の名が出ることさえも!」


「…っ!」



四辻さまは大声を上げ、
その身を起こし
部屋のどこかへ歩いて行った。
暗闇に紛れ、その姿を確認できない。





ぱちん…っ





「っ!??」




突然、スイッチを押された部屋の照明が
煌々と輝き、わたしは咄嗟に眼を瞑る。

微かに開いた眼で自身の服と
毛布を見つけ、身体を隠す。
光になれない眼に映った彼の姿に
悲鳴に似た、声をわたしは漏らした。





「…っひ、」





初めて、直視した彼の肌には
無数の傷痕が生々しく刻まれていた。

夫婦→←確信した



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にじゅまるる(プロフ) - 美雨さん» いえいえ!!こちらこそ修正してくださってありがとうございました!!(°▽°) (2019年5月1日 9時) (レス) id: dfaa12cf19 (このIDを非表示/違反報告)
美雨(プロフ) - にじゅまるるさん» あわわわ…!何故に三番隊!笑 完全に間違えていました!ご指摘、わざわざ、ありがとうございます!!修正させていただきました! (2019年5月1日 0時) (レス) id: c9e3b5a9e5 (このIDを非表示/違反報告)
にじゅまるる(プロフ) - こんにちわ^^!!少し聞きたいことがあるんですが、三番隊隊長は総悟じゃなくて終兄さんじゃないんですか?もし私の間違いであればごめんなさい…けれど気になったので… (2019年4月30日 15時) (レス) id: dfaa12cf19 (このIDを非表示/違反報告)
美雨(プロフ) - 夏終朝凪さん» 嬉しいお言葉ありがとうございますっっ!!これからもう少し銀魂世界寄りになっていく予定なので、引き続き楽しみにしてもらえたらと思います!コメントありがとうございます涙 (2019年4月16日 23時) (レス) id: c9e3b5a9e5 (このIDを非表示/違反報告)
夏終朝凪(プロフ) - 続きが気になります!とても読みやすいですね!更新楽しみにしてます!(*´▽`*) (2019年4月16日 21時) (レス) id: 06ec7af5b3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美雨 | 作成日時:2019年3月29日 0時

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