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「Aちゃんのそういう服初めて見た!!」
クローゼットの端のほうで、存在を薄くしていた控えめなフリルのついたトップスを引っ張り出してみた今日この頃
可愛い可愛いとしきりに褒めてくれるエマちゃんのほうが私の目には何倍も可愛く見える
この間買いそびれたトップスを今日こそ買うべく、エマちゃんを誘ってこの間のお店に直行する
なんだか付き合わせる形になってしまって申し訳ないな、と思っていたけれどエマちゃんの好みにも当てはまったらしくお店に入って早々別行動で洋服を見始める
割と日を空けずに買いに行ったから、売り切れの心配もなくエマちゃんも気に入った洋服を見つけたらしく2人でお揃いのショッパーを下げて駅ビルを出た
「ケンちゃんとね、お付き合いすることになったの!」
「ケン、、ちゃん??」
「も〜、ドラケンくんのこと!!」
ケンちゃんって呼ぶことにしたの、と少し恥ずかしそうなエマちゃんが本当に幸せそうで何だかこちらまで嬉しくなる
エマちゃんは、なんていうか、真っ直ぐだ
真っ直ぐ、龍宮寺さんだけを追って、龍宮寺しか見てなくて、1度掴んだその手を無闇に離したりすることなんてないんだろう
私とは、違う
もし私がエマちゃんみたいに居られたら、今でも三ツ谷くんと一緒にいれたのかもしれない
今からでも、遅くないのかな。
いや、
自分が振りほどいたくせに、心のどこかで追いかけてきてくれると思っていて。いざ振り返ればもうそこに三ツ谷くんはいなくて、代わり三ツ谷くんの隣には違う人がいた
遅くないわけが無い。
あまりに自分勝手すぎる。
それでも苦しくて、捨てたいのにどこに捨てればいいか分からない、この思いのやり場が分からない。
いつから。いつからこんなに弱くなったんだっけ。
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作者名:Anju | 作成日時:2022年8月13日 17時