*元彼インスタ【三ツ谷隆】 (ページ22)

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「なに？食わねーの？」

口元に差し出されたスプーンを、｢遠慮しとく｣と小さく手を振って断ると彼は不満そうに自分の口に運んだ

SNSでプチ話題になっている"どら焼きかき氷"とやらを食べに行こうと誘われて、まるで食べたいとは思えなかったけどとにかくこのもやもやを1人では抱えきれなくていつもなら絶対に行かないであろう誘いにのる

ワンオーダー制で仕方なく頼んだジュースは、グラスの中で氷が溶けて上澄みになっていた

長めに伸びた髪を上の方だけ後ろで束ねているその痛んだ金髪

キャンパス内で有名な佐野万次郎くんと、私はアパートの階違いで上下の部屋に住んでいる

夜中にガチャガチャと玄関から聞こえて、いつでも通報できるようスマホを握りしめながら恐る恐るドアスコープを覗くと、ふらふらの金髪がドアの前で

「俺の部屋ーーー！！なんで開かねぇんだー」
と喚いてるもんだから。

これを機にマイキーくんと私は気軽にお互いのインターホンを押せるくらいの仲になった

「三ツ谷くんと、会った」

インスタに三ツ谷くんがいたくらいだからマイキーくんも私の三ツ谷くんの事は既知だと思っていたのに

この間、マイキーくんのインスタから三ツ谷くんを見つけて、新しい彼女がいると知ったことを話したらマイキーくんは私と三ツ谷くんが付き合っていたことは知らなかった

「え？まじ？なんで？」

「なんか、本当にたまたま会ってそのまま映画行った」

なんか色々省きに省きまくって話してるけど、、ごめんマイキーくん。と心の中で呟いておく

「お前ー、それ彼女に見つかったら勘違いされるよ」

「、、そうだよね、」

やっぱり他の人から見ても2人で出かけたってだけでそう思われるのに、ましてホテルに泊まっただなんて口が裂けても言えない

駄目だよね。

そう思いながらも流されていた、というより流されにいった自分をいざこうして第三者に言われると余計に胸に刺さる

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