北一出身の白鳥沢男子

30球目 ページ32

加賀side

　タイムアウトが終わり、選手達がコートの中に入っていく。青城の雰囲気はタイムアウト前とあまり変わらない……。いや、少しだけ余裕があるように見える。さすが及川さん。

「やっぱり、青城は強いですね」

五「ああ。十分全国でも通用するだろ」

白「それでも、俺らの前ではその力は通用しないんだよな。」

……賢二郎さん。かっこいいこと言いましたけど、そのニヤケている顔で台無しになってます。

ピー！

｢ナイッサー!!｣

　工のサーブで試合が再開される。

及「岩ちゃん！」

　さあ、青城はどう変えてくる……？

岩「おらよ！」

　そう言って打たれた岩さんのスパイクは、僕の手を弾いてコートに落ちた。

岩「よっし！」

　その調子で青城に3連続得点が入ってしまった。正直、ブロックの意味が全くない状態だ。

「くそっ」

天「さすがだね〜」

白「何も変えてきてない……か」

　そう言って賢二郎さんは僕らの方を向いた。

白「そうなったら俺らも真っ向勝負で行きましょう。
本来の白鳥沢の力を出して戦うべきです」

　その言葉は、暗に僕の考えた作戦は通用しないと言っているようだった。正直、悔しい。

牛「海麗」

「はいっ！」

　1人で勝手に落ち込んでいると、牛島さんが話しかけてきた。

牛「海麗の作戦が悪かった訳では無い。むしろ、リードできているのは海麗のおかげだ」

「……」

牛「だが、ここはエースが決めるべき時間帯だ。俺に任せろ」

「……はいっ」

　牛島さん、かっけぇ。

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