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「…チャンスが欲しい」


打って変わって真剣な面持ちの悟に二の句が継げなくなる


「もう一度一緒に住んでから見極めてよ。調子が良いってことは分かってる…けど、もし俺が本気だってことが分かったら指輪を付けてそのまま今まで通り傍にいて欲しい」

「……」

「頼むから」


嘘を言ってる様には見えなかった

しかしそれを素直に受け入れることができる程素直にもなれない


何が正解かも不正解かも分からない



一度完全に諦めてしまった感情を再び呼び起こすのは中々に難しかった




「……ごめ、」


ごめんなさい


そう言い終わらないうちに痛いほどの力で手を握られた
私の力ではほどけそうにない



「頼む」



どうやら諦めてくれる気はないらしい

こうなったら梃子でも動かないだろう



私は開いていた口をキュッと引き締めて俯いた



「……条件があります」

「なに?」


「…夜は…その、したくありません」

「……」



夜の意味は言わずもかな


ウンともスンとも言わなくなった悟にどうしたのかと顔を上げると、面白いほど絶望的な顔をしていた


「悟?」

「…」


悟は空いている片手で顔全体を覆い上を向いたり下を向いたりしながら「うーん」「ん"〜っ」と悩まし気にしている

元々私たちは回数も多くないし問題がないと思ったのだがどうやら違ったらしい


…というか、私は悟がそこまで誠実だとは思っていない

正直今までも回数が少ない分、他の女性で発散していたものだと思っているし…ただ、契約結婚の自分にはそこまで束縛する権利はないと諦めていただけだ



実際にお付き合いを始めるのであれば自分は悟に嫌悪感を抱いてしまうかもしれない

「好きだと言ったのに」なんて考えてしまう自分なんて思い描くだけで疲れてしまう




「…俺…そんなに下手くそ?」


中々にショックを受けている悟が投げ掛けたてきた問いに首を横に振る


「これは多分私の問題だから悟は関係ないよ」


いや関係ないこともないけど、と言う言葉は飲み込む

自覚はあったが、自分は初めての時に悟が姉の名前を呼んだことがかなりトラウマになっているらしい

元々その行為の良さも知らない自分は愛のない行為の虚しさと、いつ姉の名前が呼ばれるのかという恐怖で快感を拾えたことがない


苦痛なだけだった



「…………………………分かった」



長い沈黙の後漸く絞り出された答え


そんなに悩むことだろうか…?と何故か悪いことをした気分になった

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ksbgtenmushi(プロフ) - すごく好きな作品でいつも続き楽しみにしてます!!是非続編のパスワード教えていただきたいです(o^^o) (2021年5月1日 1時) (レス) id: e9d7731bcb (このIDを非表示/違反報告)
あずき(プロフ) - いつも楽しく拝見させて頂いてます!!続編のパスワードを教えて頂きたいです。 (2021年4月27日 22時) (レス) id: 1f3621aec0 (このIDを非表示/違反報告)
雪椿(プロフ) - いつも楽しみにしています。続編のパスワードが解けるその日を心待ちにしてます(*^^*)応援してます! (2021年4月26日 22時) (レス) id: e95a52c7d4 (このIDを非表示/違反報告)
noenatsu(プロフ) - 続きがきになります!パスワードを教えて頂きたいです! (2021年4月26日 22時) (レス) id: a7d2cd1144 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 続編も楽しみにしていました! パスワードを教えていただけないでしょうか? (2021年4月26日 20時) (レス) id: 947d5e398f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かのん | 作成日時:2021年2月26日 0時

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