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「……あの」
「ん?」
「降りたいんですが…」
「ダメー」
あははー、と言いながら顔の前でバッテンを作る悟に怒りを通り越して呆れてしまった
何故多忙である人がこんな街中でプラプラしてるのか
もしかしたら近しい任務場所だから二人まとめて…?、いやでも悟が向かわなければならない案件がこんな街中にあるだろうか
ひとり考えても堂々巡りに首を傾げるだけであった
「どうかしたんですか?」
「いやー!花子が術師に復帰したって聞いてさあ。今日が初任務って聞いて丁度手が空いてたから様子見がてら来ちゃった」
おどけて言う悟にやはり理解が追い付かなかない
それよりも隠しているわけではないがどうして復帰した事を知ってるんだろう
そして学生でもないのに様子見とは…?
まあ悟の考えることは常人には到底理解に及ばないのでこれ以上考えるのはよそう
私は悟の言葉に何を返すでもなく、伊地知さんへと視線を向けた
「わざわざ送迎をありがとうごさいます、伊地知さん」
「え?!いえ、とんでもないです!私の方こそ無理やりすみませんでした!!」
「……?いえ、こちらこそ」
慌てる伊地知さんを不思議に思いながらも取り敢えず座席に腰を落ち着けると、伊地知さんも落ち着いたのか車が進み出した
隣から悟の視線を感じたが特に話すこともないので窓に視線を遣る
平日なのに人が多いな、とぼんやりと思いながら眺めた
悟との思わぬ再会にも、こうして肩を並べることにも自分の心は乱れることなく落ち着いている
「…そういえば、花子さんは復帰してから今日が初めての任務ですよね」
「そうですね…最近は発生が少ないんでしょうか?
全く指示がなくて」
そうなのだ、復帰して半月以上が経つのに全く依頼がなく日々をダラダラと過ごしている状態である
正直貯蓄もあまりないため困っているのが現状だ
…術師の手が足らない地方に滞在した方がいいだろうか、と窓の外から目を離さず考えに耽る
「え、と…そ、そそそそうですね…っ、いないのかなぁ?!いえ!いないです!」
突然物凄い勢いで吃り出した伊地知さんに、どうしたのかと窓から視線を外し顔を向けるとせっかく引いた汗が再び浮かんでいた
本当にどうしたの?
親しいわけでもないので口を出すべきかどうか思わず無言になる
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ksbgtenmushi(プロフ) - すごく好きな作品でいつも続き楽しみにしてます!!是非続編のパスワード教えていただきたいです(o^^o) (2021年5月1日 1時) (レス) id: e9d7731bcb (このIDを非表示/違反報告)
あずき(プロフ) - いつも楽しく拝見させて頂いてます!!続編のパスワードを教えて頂きたいです。 (2021年4月27日 22時) (レス) id: 1f3621aec0 (このIDを非表示/違反報告)
雪椿(プロフ) - いつも楽しみにしています。続編のパスワードが解けるその日を心待ちにしてます(*^^*)応援してます! (2021年4月26日 22時) (レス) id: e95a52c7d4 (このIDを非表示/違反報告)
noenatsu(プロフ) - 続きがきになります!パスワードを教えて頂きたいです! (2021年4月26日 22時) (レス) id: a7d2cd1144 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 続編も楽しみにしていました! パスワードを教えていただけないでしょうか? (2021年4月26日 20時) (レス) id: 947d5e398f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かのん | 作成日時:2021年2月26日 0時