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「私は愛を与えて貰えないと分かりきった子供をつくるつもりはない」
これが私の業ならば、それを子供にまで背負わせるつもりはなかった
ハッとした表情の悟の下からズルズルと抜け出し、乱れた着衣と髪を整える
「確かに私達の関係に愛は無かったかもしれない…けど、どういった形であっても私に人の暖かさを教えてくれたのは他の誰でもなく悟だよ」
何を言うでもなく片膝を立てて床に座り込む悟を立ったまま見下ろした
「だから私はこれ以上悟から何かを奪うつもりはない」
…今までありがとう、幸せだったよ
それだけ伝えて財布を手に取り玄関に向かった
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花子が家を出ていって一週間が経った
その間に何度か家には帰ってきたらしい…いつの間にか花子の私物は綺麗サッパリ無くなっていて、以前の様にハウスキーパーがやって掃除などをこなしていく
しかし花子の「おかえりなさい」も「いってらっしゃい」も…僕のためにと作られた温かい食事も何もない
気が向いたときに食べられるようにと冷蔵庫を開けるといつもあった手作りのお菓子なんかも勿論ない
時々ねだってして貰う膝枕も
僕な頭を優しく撫でる手も
ぎこちなく笑う顔も
心配そうに揺れる瞳も
最後に見たのは今までの思い出を全て捨て去ったような無感情な瞳だけだった
ぼーっとしながら車窓からの景色を眺める
目に入る全てがまるで色褪せてしまったかのような鈍い色をしていた
「さ、最近元気ないですね…五条さん」
「んー」
そんな僕に気を使ってか話題を振ってくる伊地知だか全てが面倒臭くて適当な相槌を返す
「そういえば、近くに美味しいクレープの店が出来たみたいですよ!」
「んー」
「最近任務が立て続きで疲れてませんか?!」
「んー」
「……」
どうやら全く相手にする気がないのを察したらしい、伊地知はぐっと押し黙った
「そういえば花子さん術師に復帰するんですね…てっきり五条さんはもう関わらせる気がないんだと…ヒィ!!!!」
ガッ
ガシッ!!!
突然全ての意識を持っていかれる話題が浮上し、僕は驚きに満ちた表情で運転する伊地知の後頭部を掴みそのまま前へと乗り出す
ハンドルを持つ伊地知の手が乱れ車が蛇行するが今はどうでも良かった
「どういうことだ!!!」
「ごごご、五条さんっ!前!!運転!!まえぇぇ!!」
車内に伊地知の叫びが響き渡った
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ksbgtenmushi(プロフ) - すごく好きな作品でいつも続き楽しみにしてます!!是非続編のパスワード教えていただきたいです(o^^o) (2021年5月1日 1時) (レス) id: e9d7731bcb (このIDを非表示/違反報告)
あずき(プロフ) - いつも楽しく拝見させて頂いてます!!続編のパスワードを教えて頂きたいです。 (2021年4月27日 22時) (レス) id: 1f3621aec0 (このIDを非表示/違反報告)
雪椿(プロフ) - いつも楽しみにしています。続編のパスワードが解けるその日を心待ちにしてます(*^^*)応援してます! (2021年4月26日 22時) (レス) id: e95a52c7d4 (このIDを非表示/違反報告)
noenatsu(プロフ) - 続きがきになります!パスワードを教えて頂きたいです! (2021年4月26日 22時) (レス) id: a7d2cd1144 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 続編も楽しみにしていました! パスワードを教えていただけないでしょうか? (2021年4月26日 20時) (レス) id: 947d5e398f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かのん | 作成日時:2021年2月26日 0時