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「あの…お久し振りです、硝子さん」
おずおずと不思議そうに挨拶する花子に「久し振り」と返事を返した
なぜアタシがここにいるのか
…それは昨晩まで遡る
『何さこんな時間に』
『……頼みがあるんだけど』
同期である悟の思ったよりも切羽詰まった声に驚いた
しかし、続いた言葉にそれ以上に驚きを隠せなかった
『花子から離婚切り出された…ってか既に勝手に離婚届出してた』
『は……、はあ?!』
昨日まで誕生祝いやらなんやらの話をしてたのに、どうして今日そんなことになってる?
…瑞季の事か?
問題ない状態にも関わらず花子との時間を蔑ろにして瑞季の容体を見に来た悟
もしかすると何か察したのかもしれないがそれにしては行動が早すぎないか?
『何で離婚届勝手に出せるのさ。偽造?』
『……結婚した時お守りだよって言って渡したから…』
『…馬鹿じゃない?』
何で新婚で突然記入済みの離婚届渡されなきゃなんないんだよ
電話の向こうの相手がそこに居ないとわかってはいるが、思わずスマホに向けで侮蔑の眼差しを送った
『僕これから急な任務が入ったんだ…それに、多分僕の話には耳を貸さない気がする。…硝子説得してくれない?』
『何でアタシが…』
『頼むよ〜、今度良い銘柄のお酒の詰め合わせ持って行くから!』
『…………話聞くだけだからね』
『さっすが!持つべきものは頼りになる友人だね!』
『どの口が言ってんのさ』
何てやり取りが交わされ…
チラリと紅茶を淹れる花子を視界に入れる
正直アタシにとって花子はただの後輩の粋をでない
どちらかというと『瑞季さんの妹』という感覚だ
初めて花子と話した時の感想は正反対な姉妹だな、だった
見掛けは勿論のこといつも笑顔で印象が良い瑞季さんとは反対に、花子は決して初対面で良い印象を持たれることはないだろう
表情は乏しく口数も少ない
術師としての実力も下から数えた方が早いだろう
悟が好きなのは瑞季さん
分かりやすい態度故に誰もが知っていた
だから卒業後に花子と付き合い始めたと聞いた時は度肝を抜かれたのを覚えている
…そして理解したくもないのに理解した
恐らく瑞季さんの為だな、と
悟は上手く隠していただろうが今回のことは致命的だろうが、と花子に聞こえない程度に小さく溜め息を溢す
「甘いのお嫌いですよね?ストレートです」
「ああ、突然来たのに悪いね」
「いいえ、それで話しとは…?」
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ksbgtenmushi(プロフ) - すごく好きな作品でいつも続き楽しみにしてます!!是非続編のパスワード教えていただきたいです(o^^o) (2021年5月1日 1時) (レス) id: e9d7731bcb (このIDを非表示/違反報告)
あずき(プロフ) - いつも楽しく拝見させて頂いてます!!続編のパスワードを教えて頂きたいです。 (2021年4月27日 22時) (レス) id: 1f3621aec0 (このIDを非表示/違反報告)
雪椿(プロフ) - いつも楽しみにしています。続編のパスワードが解けるその日を心待ちにしてます(*^^*)応援してます! (2021年4月26日 22時) (レス) id: e95a52c7d4 (このIDを非表示/違反報告)
noenatsu(プロフ) - 続きがきになります!パスワードを教えて頂きたいです! (2021年4月26日 22時) (レス) id: a7d2cd1144 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 続編も楽しみにしていました! パスワードを教えていただけないでしょうか? (2021年4月26日 20時) (レス) id: 947d5e398f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かのん | 作成日時:2021年2月26日 0時