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準決勝当日。
ガヤガヤと賑わう会場の中、治に送った既読が付かないメッセージをAが呆然と眺める。
「ちょっとちょっと!Aちゃんもうすぐ試合始まるで!」
双眼鏡を首から提げた部長がAの肩をトントンと叩いた。
A「あ、すみません」
「ほら!出てきた!」
部長が指をさしたと同時に、吹奏楽部による演奏や応援の声で一気に会場が盛り上がる。
Aが治を目で追うが、治は観客席を見ようともせず静かにアップを始めた。
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接戦の末1セット目の勝ちをもぎとった稲荷崎が2セット目に突入する。
侑「サム!」
侑がふわりと上げたトスを華麗に治がスパイクで決めた。
『ナイスキー治!もう1本!』
会場が盛り上がる中、侑が治にドヤ顔を向ける。
侑「どや俺のトス!打ちやすいやろ!」
治「うっさい今俺が決めたんや」
イラッとした治が侑を睨む。
侑「何やねんお前さっきから。...ハッ!あかん!Aちゃん見てるから怒ったらあかん!」
いつもなら容赦なく言い返す侑がAの方を向いて微笑んだ。
その言葉と行動に更にイラついた治がポツリと呟いた。
治「...お前の事なんか見ててたまるか」
侑「あ?なんか言うたか?」
北「おいそこ!集中しろや!!」
二人が険悪なムードになる前に北がすかさず注意した。
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『ありがとうございました!!』
見事ストレート勝ちした稲荷崎が会場に向かって挨拶する。
『きゃー!侑くーん!治くーん!』
『お前ら最高や!』
観客が盛り上がる中、治が観客席にいるAを探すが姿は見当たらなかった。
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「あー腹減った」
ミーティングが終わった帰り道、侑が空腹になったお腹をさする。
角「なんか食べて帰る?」
侑「寿司行こ寿司!いや、焼肉もありやな!」
治「...腹減ってるからなんでもええわ」
腹を空かせた3人が会場を後にする中、だるそうに歩いていた治がぴたりと足を止めた。
侑「サム置いてくぞ〜」
侑が振り向いた瞬間、他校の男子生徒達に絡まれているAの姿が目に入ると同時に、すごい勢いでAの元に近付く治も目に入る。
侑「やばい!Aちゃんがピンチや!」
すかさず侑も駆け寄るが、治の一言に侑が足を止めた。
治「お前ら俺の彼女になんか用か」
侑「........は?」
他校の男子を睨みつける治にAが駆け寄りしがみついた。
侑「はああ????」
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作者名:かなめ/ | 作成日時:2020年4月13日 17時