鈴の音色 2【HQ 西谷夕】 (ページ47)

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第90話ページ47

Aside(続き)

高速を降りて暫く走ると合宿所に着いた。
とても広い体育館のある敷地。
ここで見知らぬ人たちと練習やゲームをするのか。

日・影「「冴子姉さん！あざっした！！！」」

そう言うと日向君と影山君は物凄い勢いで車を飛び出し、体育館へと走って行った。

冴「ハハッ！あの二人ったらすげぇなぁ！」

『それほど彼らにとってバレーボールは無くてはならないものなんでしょうね。』

見送る暇もなく行ってしまった二人の背に、頑張れと心の中で呟いた。

冴「さて！ちょっとだけ寄り道して帰るか～！」

『お疲れでしょうし、それがいいと思います。』

来たばかりではあるけど、合宿所から宮城へと車を走らせ始めた冴子姉さん。
きっと田中君に声を掛けたかっただろうけど、サッと引くあたりは大人なんだなぁと思った。
しばらく走っていると、ゴロン…と何かが足に当たった。

『…………』

これ、日向君のバレーシューズ…

冴「えー！！あの子シューズ忘れてった！？」

『私が届けます。冴子姉さんはそこのカフェで休んでてください。』

冴「車で行った方が早くないか？」

『反対車線が混雑していたので、走った方が早いです。』

冴「…わかった！頼むぞ！」

何かあったら、と冴子さんは携帯番号を書いたメモを渡してくれた。さすがお姉さん。
それを受け取って私は車を降りた。

『きっと今頃、焦っているだろうな。』

努力してきた時間を、無駄にはさせない。
あの二人ならきっとこの先、もっと飛躍する。

『これじゃ回り道か…』

しばらくは走っていたが、人目のつかない場所から空中へと足を蹴った。ビルの間をすり抜け、屋上から屋上へと駆け抜けた。