【第八十五話】 ページ38
トウェインはサングラスを外し、敦の行動に驚嘆した。
「凄いなタイガーボーイ...!
こんな超高度からの落下に耐えて砲撃に耐えて、五十弾の雨にかすりもしないなんて...」
何が彼をそうさせているのか、すると帰って来たトムが「そんだけあのキモ人形を届けたいって事じゃねえの?」と言った。
彼の胸にあるやり遂げなければいけないという信念、トウェインはその思いに心揺すぶられた。
「なら、これは狩りじゃない。
男と男の決闘だ、どちらが信念を通せるか、勝負と行こうじゃないか」
トウェインの目は何時にも増して輝いていた。
────○────
一方、Aはというと未だポウの部屋に幽閉されていた。
彼も彼で抵抗を見せないので、幽閉というより留まっているというのに近い。
「...Aくん」
「.......なんですか」
暫く時間が経ち、彼の心にも落ち着きが現れたのかワンテンポ遅れるも反応は示すようになった。
ポウはこの部屋の空気を何とかしようと兎に角Aに話しかけた。
「目...痛くないであるか?」
「.....痛い...というより、違和感があります...」
「違和感...?」
A曰く、右眼はあの時ローションの様に流れてしまい空になってしまったのだという。
つまり彼の右眼に付けられた包帯の中は至って空洞、『眼球が入っていない』のである。
想像するだけで背筋が凍るような話だ。
「.....」
何と声を掛ければいいのか、ポウは一瞬口ごもった。
こんな体験したことない筈なのに、Aは抜け殻のように怖いという感情すら示さないのだ。
「...」
そんなポウを他所に、Aはただただ探偵社のことを考えていた。
自分のせいでもし探偵社の誰かが死んでいたらどうしよう、もしあの人が死んでいたら...僕は探偵社にいる価値がなくなってしまう。
ごめんなさいなんてそんな謝罪だけでは済まされない大事をしてしまった、Aはそう思っていた。
彼は未だ団長の嘘を一向に信じていたのだ。
ポウはそれが嘘だと勿論知っている、だが嘘だと知った所で彼は何時もの様な笑顔を見せてくれるのだろうか。
ポウはそれが心配でAに「団長の君が横浜を燃やしたというのは嘘だ」と言う勇気が出なかった。
そんなもどかしたさともどかしたさがぶつかり合い、二人の思いは何時まで経っても平行線上に立っていた。
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星月 菜兎(プロフ) - アメ子さん» お返事ありがとうございます!!楽しみにしています!!更新頑張ってください!! (2016年11月18日 23時) (レス) id: c1b876223e (このIDを非表示/違反報告)
アメ子(プロフ) - 星月 菜兎さん» 両方のエンドですね…(; ・`д・´)ゴクリ ではお話が終わり番外編が出来次第、片方のエンドを製作してみようと思います!リクエストありがとうございます!(≧∇≦) (2016年11月18日 7時) (レス) id: 664edc9cf7 (このIDを非表示/違反報告)
星月 菜兎(プロフ) - コメント失礼します!!ハッピーエンドも見てみたいですがバッドエンドも見てみたいです!!ぜひお時間ありましたらどちらも書いてください!!わがまますみません!! (2016年11月17日 1時) (レス) id: c1b876223e (このIDを非表示/違反報告)
アメ子(プロフ) - ゆずかさん» 3周もリピートされているとは…!大好きだと言ってもらえて嬉しいです、これからと頑張ります!!ヽ(。・ω・。)ノ (2016年11月15日 21時) (レス) id: 664edc9cf7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずか(プロフ) - 1ヶ月半ほど前から前作を読み始め、最近やっと追いつきました!これからどうなるんだろう、とワクワクしながら3周ほど読み直しています。何回読んでも飽きなくて面白くて大好きです! (2016年11月15日 20時) (レス) id: 6d28a617a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アメ子 | 作成日時:2016年9月16日 19時