小さな神威くんの飼育係

新章 第34話 『調子が狂う』 ページ50

『う、上を着ろー！！！』




と叫べば、上半身裸で呑気にテレビを見ている
神威が振り向いた





「なんだよこれくらい
お前の世界でも見ただろ？」





と言う。
確かに前の世界で見たが、今のお前だと
また話が違ってくる。
人形サイズの時と同じ、きっちり割れてる
シックスパックのお腹、髪も解いていて
長い髪から雫が落ちている、





何というか、…色気が出てるんだよ！！！






『いいから、髪の毛拭いて！
そして上を着ろ！は、腹が冷える！！』






と適当な理由を並べ、
あいつに白のチャイナ服をぶん投げる
するとあいつは機嫌が良さそうにわたしにむかって
こう言ってきた






「A髪拭いてよ」






『てめーで拭け』






「誰に向かって口聞いてんの？」







と、また先ほどの長ったらしい
俺がお前の為に部屋を、と言ってくるので
仕方なく、しかたなーーーーく、近くにあった
タオルであいつの髪の毛をふきはじめた







『…このうざったい髪切ってやろうかな』







「聞こえてるけど」








なんてあたしの腕を掴んでくるので
すみませんでした、と素直に謝れば
それでいい。と上から目線で許された







「Aも入って来なよ
後は俺がやるからいいよ」







とタオルを勝手に奪われ、
早く行ってこいと急かされる、






その前にちょっと待ってほしい







『まだ居座んの？！』







と言えばあいつはにこやかに勿論と答えた







「何か問題でも？」







と怖い顔をされたので、ひとまず無言で
シャワールームの扉を閉めた








『ほんっとにムカつく！！』








とイライラしながらも
服を乱雑に脱いで行き、扉を開ける
するとあいつが出たばかりなのか
熱気がこもっており、いい香りがあたしを包んだ







『なんか、前を思い出すな…』








と自分の世界で一緒に居た事を思い出し
一人微笑んだ








ー
ーー






お風呂も入り終わり、タオルで体を拭いた後
あたしはとても重要な事に気がついた







へ、







部屋から着替えを持って来ていない！！！！








『あーくっそ！神威が来てから
本当に調子狂う！！！』






と1人焦り始める。神威に腹が立って
用意するのも忘れてしまっていた。
あたしの下着や部屋着は部屋のタンスの中だし
タオルを巻いたままこのシャワールームをでるわけにもいかない。






かくなる上は…！






と意を決し、神威に声をかけた

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