小さな神威くんの飼育係

新章 第29話 『再び』 ページ45

「っぐ…！……ククククク
無駄だ。高杉、貴様ワシにそんな口を聞いて
良いと思っておるのか？」





とニヤリと笑ったあぼう提督は
己の懐からある小さなスイッチを取り出した






「貴様の大事な猫が苦しむ事になるぞ」







とスイッチを押した瞬間
あたしの首にある物がギュッと締まりはじめた






『ぐっ…！がっ！！』






もちろん呼吸なんかできるはずもなくて
ただ締まる“首輪“を掴み悶えることしかできない







「！てめェ…！！」







怒りを露わにした高杉が提督に刀を向けるが
そんな高杉の目の前に見せつけるスイッチ。







『たッ…すぎ…！！』







と彼を見つめると
あいつは悔しそうに刀を投げ捨てた








「それで良い。
貴様の猫が死ぬ様をこの目で
見たくはないだろう」







とゲスじみた声で笑った後、
あたしの首輪のスイッチが切られようやく
息ができるようになり高杉が心配そうに
あたしを起き上がらせてくれた






「…最初からそのつもりだったってわけか
テメェの手のひらで転がせねェ神威の唯一の
弱点を使い、あいつをテメェの手中にする気か」







とギロリと睨む、
するとあいつは高らかに笑いこう口を開いた








「まさか貴様にまでこの手が使えるとは
思わんだが、全くその通りだ。
あいつがワシに刃向かうのであれば
この女を使い、あの男をワシの言いなりに
させる。ワシに従順になるあの男をみれば
神威派の連中も目が覚め、ワシに忠義を尽くす
であろう！！！！」








と提督が楽しそうに語っていたその時
大きな破壊音と共にドアが吹き飛んできた








「ヘェ、…誰が誰の言いなりになるって？」







そこに現れたのは、
仕事で一週間帰宅しないはずの神威だった








『なんであんたいんの？！
仕事で一週間は帰ってこないはずじゃ？！』








と驚いていると
ああ、と神威はにこやかに喋り出した








「俺をあまり見くびらないでほしいね
確かに普通の常人じゃ一週間程はかかる任務
だけど、 俺からしたらあんなの1日もあれば
終わるさ」







とニコニコと笑いながらズンズン
提督の方へ歩いていく。








「そんな、馬鹿な…
己ら夜兎と並ぶ傭兵部族の一つ、茶吉尼の
討伐を依頼した任務のはず…！
そう簡単に帰ってこれるはずが…！」






と狼狽える提督に神威はにこやかに答えた








「何でもいいよ
兎に角外せ」

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