吸血 50 ページ5
Aside
がんばれ、僕。ちゃんと話さなきゃ思いは伝わらないよ!
主「り、リト!」
リ「ん?どうかしたか?」
前の席で携帯をいじっていたリトに思いきって声を掛けた。あれ?なんかいつもと同じ?
もしや告白って友達として!?でも抱きしめられて好きとか、取られたくないとか………。あああもう分かんなくなってきたぁ!
リ「………もしかして、あの時の返事か?いいよ。しなくていいって言ったろ」
苦笑いでリトはそう言った。でも、その瞳の奥に一瞬悲しみが見えたのは、気のせいだろうか。
主「リトがせっかく気持ちを伝えてくれたから…………僕も、ちゃんと伝えたい」
駄目かな?と見つめると驚いた顔をしたリトはふっと息を漏らして笑った。
リ「分かった。じゃ、放課後この前の場所で聞かして」
主「うん」
放課後。考えたことをまとめて、リトに伝えなきゃ。
きっとリトは、僕に気を使っていつもと同じ態度をとってるんだ。だけど、ほんの少し感じたよそよそしさ。それをでも無くしたい。
放課後になるまでに昨日考えたことをまとめようとしたけど、逆にぐるぐるしてきた。
リ「ははっ。伝えたいこと、まとまってないって顔だな」
いつも通りの声、いつも通りのテンションでリトは笑う。反対に僕は顔に出るほどあたふたしていた。
リ「で、教えてくれるか?Aの気持ち」
僕はゆっくり深呼吸をした。まだまとまってないけど、一番伝えたいことは明確だから。
主「あのね、リトは『返事はしなくていいけど、嫌なら話さないでくれ』って言ったでしょ?」
リ「ああ」
主「……僕、リトのことは大好きだけど、それが恋愛的なものなのかどうか、分からないんだ」
そっとリトを見上げると、分かってるよと言うような眉の下がった顔をされた。
主「でも、」
リトと目を合わせる。多分、これを言ったところで何かが変わるわけじゃないんだろうけど。
主「リトと話せなくなるのは、嫌だ!まだ一緒にいたい!」
拳をギュッと握るほど力を込めて伝えると、リトは下を向いた。そのせいで今どんな表情をしているのか、何も見えない。
主「あ、あの……リト……?」
途端、強い力で引き寄せられリトに抱きしめられた。頭を抱えられ腰を抱かれ、さらに深く。
リ「ありがとう。その返事だけで、十分だ」
泣いているようにも聞こえるその声を聞いて、僕はリトの背中に手を伸ばして抱きしめ返した。
リトが、“苦しいほどの罪悪感”に顔を歪めているとも知らないで。
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まどか - りょーかい、待ってるね!! (2018年8月27日 16時) (レス) id: 130990d81a (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - まどかさん» ありがとー!それじゃ戦いを終わらせられるよう、頑張りまっす! (2018年8月26日 10時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
まどか - うんうん、凄い!!私も早速投票させてもらったよ(^^♪ (2018年8月26日 1時) (レス) id: 130990d81a (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - まどかさん» アンケート作ってみた!どうかな?上手くできてるといいけど………。 (2018年8月25日 0時) (レス) id: 59284e1a90 (このIDを非表示/違反報告)
まどか - オッケー、待ってるっ!! (2018年8月24日 21時) (レス) id: 130990d81a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2018年5月26日 0時