肆・神様は旦那様【QK】

神様のいじわる（失敗） ページ10

side kwmr

何故だか無性にAさんに、
甘えて欲しくなった。

｢Aさん、Aさん。｣
ランチ中の彼女の所へポテポテと歩いていく。

｢ん？どうしたの、河村くん？｣
｢お酒貰ったので、今日は宅飲みしませんか？｣
｢お、良いですね。何か食べたいのある？｣
｢いぶりがっこチーズ食べたい。｣
｢今日は渋めに攻めてみますか。｣

仕事終わりの楽しみを見つけて、
ルンルンで仕事をするAさん。



｢ただいまー。｣
MTGが伸びてしまい、
Aさんより遅く帰る僕。

手には貰ったお酒ともう一種類。

｢おかえり〜、おつまみ準備できてるよ！｣
｢今日は、こっちで飲みませんか？｣

いつものダイニングテーブルではなく、
ソファーのあるリビングを指さす。

｢本格的にダラダラ飲む感じだね！
おつまみ並べとくね。｣
｢お願いします。｣

手洗いうがいをし、お酒を持っていく。

｢どこのお酒？｣
ワクワクと聞くAさん。

｢Aさん…じゃん！
山形のワインセットです！｣
｢ワイン！｣
｢スパークリングもありますよ。｣
｢じゃー乾杯はそれだね！グラス持ってくる。｣

ルンルンでキッチンへ向かうAさん。

お互いのグラスにワインを注ぎ、乾杯をする。

｢んー！美味しい！｣
｢こっちのはとっても甘いらしいですよ。｣
｢ん？甘口？｣
｢飲んでみてからのお楽しみ。｣
続けざまにもう一種類あけ、グラスに注ぐ。

｢……え、あまっ！！｣
｢…本当に甘い。｣
僕も初めて飲んだけど、ジュースみたいに甘い。

次々にAさんに色んな種類のワインを飲ませていく。

｢ふー、どれも美味しいー！
拓哉くんと飲めて楽しいな。｣
ちょっと、休憩っとお水を飲む彼女。


もう一押し。

キッチンに向かいあるお酒を用意する。

｢Aさん？｣
｢んー？なーに？｣
｢フレーバーウィスキーなんですけど…
飲んでみますか？｣

Aさんに、ウィスキーを勧める。

｢珍しいね、拓哉くんがウィスキー勧めるの。｣
｢…貰い物なので一応。｣

嘘。Aさんに飲んで欲しくて買ってきた。

Aさんは、ウィスキーを飲むと幼くなる。

飲めない訳ではなく、
なぜか幼さのスイッチが押されるのだ。

なので、基本的に僕はAさんに
ウィスキーを飲ませない。

他の人にAさんの可愛いところを見せたくないのだ。

｢…まぁ、今日はお家だし…飲もうかな。｣

ロックグラスを渡せば、氷の涼しい音と共に、
液体を流し込む。

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