何でも屋と奇術師Ⅲ (ページ31)

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95話ページ31

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シャルナークと二人きりで砂浜を進む

既に日は傾きかけ、空は紅に染まっていた

それでもシャルナークは止まらない

繋がれた手と彼の背中を見比べ、感じていた違和感を大きくする

貴『(シャルらしく、ない...？)』

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貴『シャル。』

傾きかけていた陽は、ついに海岸線に飲み込まれ、暗くなりつつある浜辺に自身の声が響く

ｼｬﾙ「ん？」

呼び掛けられた張本人は歩みを止め、ゆっくりとこちらを見る

貴『ほんとは、無いんでしょ？』

私に頼みたいことなんて、

そう告げ苦笑する

つられたようにシャルナークも苦笑した

ｼｬﾙ「バレてた？」

貴『うん。』

ｼｬﾙ「なんでわかった？」

貴『ん、なんとなく。』

ふふ、と笑いながら続ける

貴『シャル、なんかいつもと違うもん。』

取られていた手は離れないまま波の音だけが響く

貴『シャル...』

ｼｬﾙ「ヒソカと二人で嫌じゃないの？」

貴『へ？』

いたって真面目そうな瞳とアンバランスな質問に拍子抜けした

貴『ふふ。』

ｼｬﾙ「笑いすぎ。」

貴『ごめんごめん。

嫌じゃないよ、ヒソカのこと』

むしろうれしい、喉まででかかった言葉を飲み込む

ｼｬﾙ「Aって変わってるね。」

やや冷たくなった視線に、笑いかける

貴『旅団の皆のヒソカへの評価が低すぎるんだよ。』

ｼｬﾙ「いや、ヒソカの戦闘力に関しては評価してるんだけどな。」

貴『人間性とか、そういうとこ。』

ｼｬﾙ「それは誰が見ても低くなるでしょ。」

貴『んー、たしかに...』

「「ぷっ、アハハハ」」

乾いた笑い声が砂浜にこだました

ｼｬﾙ「あ、流れ星。」

貴『え？』

シャルナークの視線をたどるよう空を見上げる

貴『きれい...』

夜空一面まばゆい星たちが煌めいていた

不規則に、でもそれがかえって規則的に夜空を魅せていた

この空をヒソカと見たい、はっきりそう思った

貴『シャル、私帰らないと。』

一瞬戸惑った顔をした彼だが、次の瞬間には笑って告げた

ｼｬﾙ「ああ、またね。」

彼の手が離れる

私は呪文を唱えバインダーを開いた

そしてバインダーから１枚のカードを取り出し声を発する

貴『アカンパニーオン、ヒソカ！』