何でも屋と奇術師Ⅲ (ページ21)

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85話ページ21

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貴『ん？いいよ。』

あっさりと承諾するAに唖然とするヒソカ

貴『え...ふふ、なにその顔。

全然いいよ。ヒソカなら何でも教えるよ。』

全く照れもせず、優しく笑うAを思わず抱き締めた

貴『え、ちょっと、ヒソカ...』

腕を解いた彼と目が合う

ヒソカ「キミはホントにボクを煽るのが上手だねぇ♥」

貴『そんな気無いんだけど...』

行くよ

とヒソカに告げ先を歩きだしたAにヒソカが問う

ヒソカ「いいのかい？♠月例大会♦」

貴『いいの。』

前を行くAの耳が赤く色付いていた

ヒソカ「照れてるのかい？♦」

貴『...

だっていきなりヒソカが抱き締めるから』

ヒソカ「ｸｸ♦」

満足そうにヒソカが喉をならして笑っているのが聞こえた

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貴『ヒソカ、もうすぐ日が落ちるけどいいよね？』

紅に染まる空に目をやりながら確認する

マサドラまで少し時間がかかること、何より日暮れまでには着かないことを示唆する文言だった

それはすなわち二人きりで闇夜を行動することを暗示していた

ヒソカ「あぁ♦構わないよ♠」

ヒソカからの返答を聞き頷く

貴『じゃ、少しペースあげよ。』

森を、二人は移動速度をあげながら通過していた

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貴『あのね』

すでに日が沈み暗くなった森にAの声が響く

貴『私、昔、流星街にいたの。

私の記憶で一番古いのは流星街の記憶。

その日生きるのに精一杯だった。』

ぽつり、ぽつり、と自身の過去を話始める

貴『まだ、私が６歳の頃だったかな

自分達の故郷に帰ってきた幻影旅団に遭遇したの。

そのときかな、クロロに初めて会ったのは。

私もなんでかは知らないんだけど、クロロが私を一緒に連れてってくれたの。

それからハンターになって暗黒大陸に行くまでずっと一緒だった、旅団の皆と。

旅団としての集まりがないときは大体クロロと一緒だったから、たぶんクロロとの付き合いが一番長いかな。

お父さん、いやお兄ちゃんみたいな存在だよ、クロロは。』

そこまで言い終えたところで一端口をつぐんだ

貴『っ！！』

あたりを山賊に囲まれていることに気付いた

立ち止まる二人

貴『囲まれてる。』

ヒソカ「♦」

無言でトランプを構えるヒソカと共にAも戦闘体勢に入った