何でも屋と奇術師 Ⅱ (ページ9)

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29話ページ9

貴『いや、私これからヒソカとご飯...』

すべてを言い終わる前に自身が既に暗黒大陸にいることに気付く

貴『(ヒソカ、探すよね、きっと...

手紙のひとつでも置いてくれば良かった...)』

後悔にかられながらもシェルター内を見渡す

貴『！ナノ！！久しぶり！』

ナノ「うん。久しぶり」

別件の仕事で長らく見ていなかった銀髪の中性的な顔立ちの少年が立っていた

ナノ「早速で悪いんだけど、これ、見てほしいんだ。」

机の上にはナノが持ってきたであろう昆虫の一部、のような破片が置いてあった

貴『甲殻...？』

ナノ「みたいだよな。

成分、調べたんだけど、昆虫には違いないみたいだ。

･

一番似通っているのは、キメラアント、だ」

一呼吸置いた彼から聞こえたのは予想していなかった名前だった

貴『キメラアント？

ふーん...

これ、どこで？』

ナノ「ヨルビアン大陸の海岸線沿い」

貴『ナノ、これもっと調べるの？』

ナノ「それも相談しようと思って」

貴『うーん、これねぇ

調べた方がいいよ』

オルメ「なんでだ？」

今まで静かに聞いていた大男━━チームの一人であるオルメが聞く

貴『んー、生き物ってさ、特に甲殻なんかは体を覆うように形成されるでしょ？

だから、丸みを帯びる

カブトムシとか、甲殻、丸いでしょ？

それで、丸みで大きさとかわかることがあるんだよね

ま、例外もあるけどさ。

でもこれ、全然丸くない

ほぼまっすぐ...』

机に置いてあった破片をつまむ

ナノ「何が言いたい？」

貴『もし、成分通りキメラアントだとしたらこれかなり大きいよ』

ナノ「！！

でも例外もあるって...」

貴『うん。

でも可能性があるなら調べるべき！

･

あとさ、もしキメラアントだとしたらさっきも言った通り規格外にでかい...

そして、発見地点が海岸線沿い...

ってことはその個体は川のそばにいるのかもしれないし、もしくは

別の大陸から流れ着いたのかもしれない』

フェザ「！！！

それって...」

貴『うーん、あくまで根拠のない想像だけど、

そんな規格外なものあっちで生まれたって考えるより、

こっちで生まれてあっちに海をわたっていったって考える方が何となくしっくりくる...』

フェザ「だから、海岸沿い...」