何でも屋と奇術師 Ⅱ (ページ39)

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59話ページ39

一瞬だった

浮遊感を感じたときにはすでにホテルのロビーに自身は居なかった

闇の中辛うじて目視できたのは鎖により拘束されているクロロと

鎖を操っている女だった

女━━否、クラピカは、クロロと共に文字通り付いてきたAに驚きを隠せないでいた、が

ためらい無く車の後部座席へ押し込んだ

クラ「なぜ...

こいつといるんだ、A。」

発進した車の中で彼が最初に発した言葉だ

貴『クラピカがウヴォーを殺したの？』

クラ「聞いているのは私だ。

返答によってはお前も拘束する。」

毅然とした態度の中に動揺を含むクラピカに確信した

貴『(ああ、クラピカだったんだ...)』

入り乱れる感情とは裏腹に

思考はいたってクリアだった

ここからどうしたらいいのか、

クロロが自分に何を期待してるのか、

全て把握できた

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が、体が言うことを聞かなかった

貴『(それは、たぶん

私がクルタ族に何があったか知ってるから。

そしてクラピカが今の私と同じ苦しみをずっと持ち続けてきたことを理解してしまったから)』

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クロロ「Aは俺が雇った。」

クラピカの問いにAが答えるより早くクロロが答えた

クラ「勝手にしゃべるな！！」

クロロ「質問に答えただけだ。」

クラ「私はAに聞いている！」

平然としたクロロとは対照的に怒気を含んだクラピカは続けてAに問う

クラ「お前も、あの殺戮に加担したのか...？」

貴『...してないよ。

そういうことは強要されないし、する人たちじゃない。

それに、殺しは私のポリシーにも反するし...』

クラ「そうか...。

では、なんのために？」

クロロ「情報収集と分析だ。」

クラ「貴様っ...！！」

忠告を無視するなど、クロロの態度は明らかにクラピカを挑発していた

クラ「自分の置かれた状況をわかっているのか！？」

クロロ「お前こそ、何かを勘違いしているようだな。

俺に人質としての価値はない。」

クラ「はっ...？

なに言って...」

センリツ「ほんとよ。嘘は言っていない。」

車に同乗していた女性が口を開く

センリツ「死を受け入れている...

常に死と隣り合わせで生きてきた音...

なんでそんな心音が出せるの...？」

信じられないといった表情で彼女は言葉を発していた

クラ「っ...。」