38 ｢休もう｣ ページ38
押し入れの棚に手をかけてしゃがんだ。真顔でこんのすけさんを見つめたまま何も言わないあたしに、今度は｢、！で、出過ぎたことを…！｣とか言ってぶるぶる震え出すこんのすけさんに、はあ、とため息が出た。
(あたし、)
ほんと、前のヤツ、嫌い。そして、
……こんな場所、はやく、出たい。
落としかけた視線をこんのすけさんと合わせ直した。
｢こんのすけさんはあたしより休まなきゃダメ｣
｢…、そ、それは、｣
｢休もう｣
｢…！｣
遮って言ったあたしの言葉は、自分でもちょっと、しまった、って思うくらい確固としていた。
びくっと体を固まらせたこんのすけさんに、ああ、と申し訳なさが襲う。でもきっと、こんのすけさんは、あたしがへらへらしてると、ずっと遠慮する筈だ。
それとも、こんのすけさんのことを本気で思えば、あたしのこれは、まじで自分勝手なお節介なのかな、ああ、いらいらしちゃいそうだいけない、だめだめ、
ふう、と息をつく視界の端で、こんのすけさんの体が抑えきれない震えに、また襲われてるのが見えた。ああ、せっかく傷とかちょっとは痛まなくなったように見えたのに、こんなんじゃあたし、こんのすけさんのこと困らせて、ダメなやつだ。
…、
｢ごめんね｣｢申し訳ありません｣
｢｢！｣｣
お互いの謝罪が同時にかぶって、は、と目が合う。
少しの時間のあと、ふ、と苦笑いがこぼれた。
(ああ)
｢ごめんね、ちょっとあたしもお節介だったね、｣
｢…、｣
｢けど、薄い毛布くらいは出させてよ、｣
｢…｣
もし、
もしも、
(あした目が覚めて、元の世界に戻ってたら)
こんのすけさんから目を逸らして、奥の薄い毛布を取り出した。うん、これぐらいなら、かけても重くなさそうだ。足元にかがんで、小さくそれを広げる。
｢よいしょ、こう折って、…うん、ここ体いれたら、ちょうどあったかいと思うから、｣
｢…、｣
(前のヤツが、また変わらず、酷いことをするとしたら、)
｢…、｣
おやすみ、と言おうとした時、こんのすけさんがばっとあたしへと顔を上げた。その表情で、こんのすけさんが言いたいことが分かってしまった気がした。そしてそれは、多分当たっていた。
｢このこんのすけ、｣
｢…｣
(前のヤツが、戻るとしたら、)
｢…っ、貴方様が無事、元の世界に戻れるよう、…っ心からお祈り申し上げまする…！｣
｢、｣
せめてここが消えちゃう迄は、
(あたしがここに、いてあげたい、)
なんて、
39 ｢政府の者から連絡です！｣→←37 (お節介だろうか)
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ゆり - 面白かったです！！続編も気になります。見てみたいのでパスワード教えて下さい。お願いします(＞人＜;) (2022年5月4日 17時) (
レス) id: a0139c2d82 (このIDを非表示/違反報告)
plus__m(プロフ) - 登場人物達の感情や情景がとても細やかに書かれていて、読んでいるだけなのにその場を身をもって体験しているような気持ちになってとても面白いです！特に緊迫したシーンは息が止まっていることも忘れて読んでました笑。続編の加筆修正終わるのを楽しみにしております！ (2022年4月19日 20時) (レス) @page50 id: 5adad14c72 (このIDを非表示/違反報告)
キャンドル(プロフ) - めちゃくちゃ面白いですね、この作品！続き、楽しみに待っております！ (2022年3月30日 20時) (レス) @page50 id: ff7e3e1da7 (このIDを非表示/違反報告)
白夜ナイ - 続編のパスワードってなんですか？気になるんですがパスワードが分からなくて読むことができません！教えてくださいm(*_ _)mm(_ _)m (2022年3月25日 22時) (レス) id: d118b4d7f4 (このIDを非表示/違反報告)
Momo_Tarou(プロフ) - 鳥さん» 続編おめでとうございます！！！絶対絶対絶対×∞に夜見に行きますので！！！ (2020年2月26日 7時) (レス) id: 55132ee02b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鳥 | 作成日時：2020年1月29日 3時
